世界150万部突破・39か国刊行の世界的ベストセラーが、『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』(ニック・トレントン著)だ。Amazon.com13,000超のレビューで日本でもベストセラーとなっている話題書について、ライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「なぜか嫌われている気がする」という思い込み
以前の公務員時代、職場にちょっと怖い先輩がいた。
いわゆる、お局様だ。
別に意地悪をされたわけではない。
ただ、後輩の男性にはにこやかに話しかけるのに、私にはそっけない。
明らかに態度が違う気がした。
「私、何かした?」
「嫌われた?」
毎日そればかり考え、職場に行くのが憂うつだった。
彼女の機嫌を損ねないよう、必要以上に気をつかった。
ある日、思い切って同僚に相談してみたら、「あの人、いつもああだよ」と、さらりと言われた。
その言葉を聞いて、力が抜けた。
しかもよく観察してみたら、男性陣への態度も、そこまで特別優しいわけではなく、むしろ誰に対してもそっけなかった。
私は少し意識しすぎていたのかもしれない。
世界的ベストセラーの教え
この冬も日本で話題となっている、全世界150万部突破のベストセラー『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントン(行動心理学修士)もこう述べている。
――『STOP OVERTHINKING』(P.188)より
内在化とは、他人の機嫌や態度を、すべて「自分のせい」として処理してしまう思考のクセだ。
上司が不機嫌そうにしていると「私、何かミスした?」と不安になる。
友人の返信が遅いと「嫌われたかも」と気にして夜も眠れない。
でも実際には、相手は単に忙しいか、別の理由で機嫌が悪いだけのことも多い。
なのに「自分のせい」と思い込んでしまい、余計な気をつかってしまう。
本書によると、こうした内在化は自責の念や自尊心の低下を招くという。
自分を必要以上に責めてしまい、相手の機嫌に振り回されることで、心のスタミナが削られていくのだ。
「早まって自分を犯人にしない人」の習慣
「自分のせいかもしれない」と思ったら、いったんその考えを保留してみよう。
確証がないうちは、早まって自分を犯人にしないこと。
そして、次に事実だけを見る。
「相手が不機嫌そうだった」は事実。
でも「自分のせいで不機嫌」は、あくまで推測にすぎない。
人の機嫌には、無数の理由がある。
自分のせいだと断定するには、あまりにも情報が足りなさすぎる。
他人の感情は、相手のもの。
あなたがコントロールすることはできないし、する必要もない。
「自分ができる範囲」と「相手の領域」を切り分けられたとき、不思議と心に余裕が生まれる。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)









