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米巨大テクノロジー企業の財務状況は強固だ。だが人工知能(AI)への支出は、これら企業を弱体化し、投資家の見方を変える方向でビジネスの力学を動かそうとしている。
マイクロソフトとアルファベット傘下のグーグル、アマゾン・ドット・コムは、AIがハイテクを巡る状況や世界経済を一変させると信じて、過去3年間、巨額の資金を投じてきた。3社の2023年から今年にかけての投資額は、各社やアナリストの予想通りなら、合計6000億ドル(約92兆7000億円)超に上る見通しだ。
こうした巨額の投資はこれまでのところ、多くの問題を引き起こしていない。3社ともバランスシートが強固で債務は低水準、収益が拡大するという状況の中でAIブームに加わった。過去3年間にAIとはほぼ無関係の要因で計上された多額の黒字によって、巨額投資の継続決定が可能になっている。2023~2025年の累計純利益は7500億ドルを上回る見通しだ。
しかし、現金の流出は3社のバランスシートに影響を与え始めており、AIへの支出が拡大し続けた場合にそれぞれの事業の形が劇的に変わる可能性を予見させる。
直近の決算期末だった今年9月末の時点で、マイクロソフトの現金および短期投資が全資産に占める割合は約16%と、2020年の約43%を下回った。アルファベットとアマゾンの相対的な現金ポジションも、AIインフラへの支出によって膨張した資産との対比で、著しく低下している。








