知識があるからこそ陥る
「正常性バイアス」の罠
医師でありながら、その知識があだとなって発見が遅れてしまったという衝撃的な告白。ここには、医療従事者だけでなく、私たちにとっても生死を分ける重要な教訓が隠されています。
人間には、自分にとって都合の悪い情報を無視し、「自分だけは大丈夫」「今回は大したことない」と思い込もうとする心理作用(正常性バイアス)があります。
バイアスの強力な裏付け
著者の場合、豊富な医学知識が、このバイアスを強力に裏付けしてしまいました。「確率は低い」「年齢的にまだ早い」というデータは、あくまで全体の話であって、個人の安全を保証するものではありません。
私たちは身体の不調を感じたとき、ネット検索などで得た知識で「大した病気ではない理由」を探して安心しがちですが、それは非常に危険な行為だと言えます。
統計上の「1%」も
当事者になれば「100%」
「99%は痔である」という推論は医学的に正しくても、残りの1%に当たってしまえば、その人にとっての現実は100%です。
このエピソードは、確率論で身体を判断することの危うさを教えてくれます。「血便=痔だろう」「腹痛=ただの食あたりだろう」という自己診断は、命取りになりかねません。
「まさか」を捨て、検査を味方につける
著者がステージ4で見つかったように、がんの初期は無症状であることが多いようです。だからこそ、症状が出てから動くのではなく、定期的な検診が重要になります。
特に「自分は健康だ」「まだ若い」と過信している人こそ、一度立ち止まってみてください。知識や思い込みを捨てて、「万が一」を恐れずに医療機関で検査を受ける。その謙虚な行動だけが、あなたと家族の未来を守る唯一の手段なのです。
※本稿は『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。










