保険写真はイメージです Photo:PIXTA

近頃、富裕層の間で再びブームの兆しを見せている資産防衛術がある。海外生命保険だ。なぜ今、海外生命保険が注目されているのか。知られざるメリットとリスクとは。富裕層の資産管理・運用の事情に詳しい専門家が解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

超富裕層が一度は加入を考える
「海外の生命保険」

「最近、田中社長、ハワイに行って海外生命保険に加入したらしいよ」

 ある50代経営者が、ゴルフ場のクラブハウスでそうつぶやきました。

 金利上昇したとはいえ、銀行に預けても大した利息はつかない。株式は値動きが激しく、不動産は高すぎてここから手を出すのは怖い。そして何よりも、日本では税金の負担が重い――。

 そんな中で、富裕層の間で再び話題になっているのが、海外の生命保険です。

「日本の保険とはまるで別物だ。相続にも有利らしい」「運用も含めて海外保険は自由度が高い」などと考える人が多くいます。

 マニアックな選択肢のように思われるかもしれませんが、億単位の金融資産がある人が一度は考えるのが、海外の生命保険なのです。

日本では原則加入できない
海外生命保険に富裕層が入りたがるワケ

 日本の生命保険は基本的に「一度加入したら原則契約内容は変わらない」ものですが、海外の生命保険は「保障額が増えたり、保険の対象者(被保険者)が変わったりしながら、一つの契約を連続的に承継させる」こともできるなど、商品によりますが、かなり自由度が高いのです。

 貯蓄性も高く、保険関係費用が相対的に安いため、高いリターンを狙えます。また保障額も100億円(日本では7億円、最近14億円になったといわれています)以上にすることもでき、高い保険金を得ることもできます。

 富裕層が一度は検討するのはもっともですが、一方で大きなデメリットもあります。