FRBパウエル議長Photo:Alex Wong/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の側近らは、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で複数の反対意見が出る可能性がある中、それでも利下げを強行できるよう下準備を整えている。

 FRB内でこれほど意見が異なっていることは、最終的な決定がこれまで以上にパウエル氏の判断に委ねられることを意味する。

 パウエル氏はこうした深刻な対立を乗り越えるため、それぞれ弱点のある二つのアプローチを検討する公算が大きい。一つ目は、市場の予想通りに利下げを行い、FOMC声明で追加利下げのハードルを引き上げる方法だ。「利下げ後の据え置き」というアプローチは、今回と同様に3回の利下げでFRB内部から強い反発が起こった2019年後半にパウエル氏が採用した方法を想起させる。

 こうした方法を選択した場合、いかなる利下げも支持しないメンバーの反対を招く可能性はある。しかし、現状が続く限り利下げは正当化されないという新たなコンセンサスを形成することで、意見の相違を公にすることを繰り返すという展開に終止符を打つことができるかもしれない。