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英労働党は、自党の政策が景気の後押しになっていないことに気付いたが、政府の財政収支を均衡化するための福祉支出削減を拒んでいる。残された道は大増税であり、レイチェル・リーブス財務相は26日、それを新たな予算案の中で明らかにした。それは長く語り継がれるラッファー曲線の物語だ。
リーブス氏とその同僚たちは何カ月も前から増税を示唆してきた。そして、事前に情報が漏れていた、考え得る最悪の案の幾つかは最終的な予算案には盛り込まれなかった。
しかし、まず注目すべきなのは、今回の「そうなってもおかしくなかったものほどは悪くない予算案」でさえ、2030年までに税収の国内総生産(GDP)比を過去最高の38%まで引き上げる計画だということだ。新型コロナウイルス禍前は、この比率は約33%だった。
最大の増収策は、個人所得税の課税基準額の凍結期間を、これまでの予算案の設定からさらに3年延長し、2031年までにするというものだ。この基準額は22年以降引き上げられていない。物価変動分を考慮した実質的な生活水準が上がっていなくても、インフレによって家計の名目所得が増加すると、より高い税率区分が適用される。リーブス氏の狙いはそこだ。年収12万5140ポンド(約2600万円)以上は最高税率45%の対象となり、5万0271ポンドでも40%の税率が適用される。
新しく導入される税の少なくとも一部は理解できる。リーブス氏は電気自動車(EV)を対象として走行距離に応じた道路税を導入する。これは、EVのドライバーと、燃料税を払っているガソリン車やディーゼル車のドライバーの税負担を平等化する一助となる。
だが、新税の大半は不合理なものだ。リーブス氏の増収策は投資家や企業に大きく依存している。その具体例は、配当や利息収入に対する税率の引き上げだ。最高税率が適用される納税者の利息収入には47%という高税率が課される。一部の事業投資では経費控除の基準が厳しくなる。また、中小企業のオーナーが従業員に自社株を売却して現金化する場合を対象とする新たなキャピタルゲイン税も導入される。







