ニューヨーク市長に当選したゾーラン・マムダニ氏ニューヨーク市長に当選したゾーラン・マムダニ氏 Photo:VIEW press/gettyimages

史上最長の政府機関閉鎖ようやく終結
混乱でトランプ政権に批判強まる

 2026年の連邦予算案を巡る米議会の共和、民主党の対立から史上最長を更新し続けていた米政府機関の一部閉鎖が、ようやく終結した。

 民主党は、年末に執行が迫る医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金の延長を予算案に盛り込むことを強く求め、共和党と折り合えない事態が続いてきた。しかし11月9日夜、上院で、民主党議員の一部が、後日この問題を採決することを条件に、来年1月末までの当面の資金を手当てする共和党主導の「つなぎ予算」案に賛成に回り、修正案が上院で可決された。

 12日には下院でも予算案は可決、トランプ大統領が署名して、10月から43日間、続いた政府機関閉鎖の事態が収束した。

 しかしこの間、政府職員約70万人の給与支払いが停止、航空便の遅延や減便の混乱などで、国民の反発が高まり、議会もようやく妥協に動いた。4000万人超の低所得層を支える食料支援「補助的栄養支援プログラム」(Supplemental Nutrition Assistance Program, SNAP)の資金も枯渇しつつあった状況でも、打開に動こうとしなかったトランプ政権に対しても批判が強まった。

 4日に行われたニューヨーク市長選では、トランプへの対決姿勢を打ち出してきた34歳の若さの民主党候補ゾーラン・マムダニ氏が当選、東部ニュージャージー州と南部バージニア州の両州知事選でも、民主党候補が勝利し、バージニア州は共和党からの知事職の奪還となった。

 現在、トランプ政権への支持率と不支持率では、不支持が支持を大きく上回るようになっている。関税引き上げの価格転嫁など物価高が進む一方で、企業や富裕層の恩恵が大きい減税など、「富裕層による富裕層のための政治」への逆風が強まっているといえる。

 とりわけトランプ政権に物価高問題への対応を期待して24年大統領選で投票した無党派層のトランプ離れが顕著だ。

 26年に議会中間選挙が迫る中で、トランプ政権、与党共和党は、この逆風の流れをどう断ち切るのか。一方で民主党は、大統領選での惨敗から党勢回復への足掛かりとしたいところだが、こちらも世論調査などを見る限り、有権者の不満を十分にくみ上げているとはいいがたく、民主党自体の改革の方向はなお定まっていない状況だ。