AI過剰投資はアリなのか インテルの教訓Photo:Bloomberg/gettyimages

 ハイテク業界では、「人工知能(AI)向けコンピューティングインフラ(半導体など)への投資は、多すぎるよりも少なすぎる方がリスクが高い」との見方が常識になっている。

 米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が最近述べたように、人々は過剰投資によって資金を失うか、過小投資によって収益を逃すかのどちらかだ。また、米 メタ・プラットフォームズ のマーク・ザッカーバーグCEOが先月の決算説明会で語ったように、AIは収益源としての可能性を秘めているため「過小投資にならないよう確実にしたい」と考えるのはもっともだ。

 しかし、投資家はこの論理に疑問を抱き始めており、投資の急増が、いずれ破綻するバブルを膨らませているのではないかと懸念している。実際、過度な投資によって深刻な事態に陥ることもある。インテルに聞いてみればいい。

 この由緒ある米国の半導体メーカーは、それほど昔ではない時期に同様の投資判断に直面した。ただし、状況は異なっていた。

 最先端半導体の製造競争でアジアのライバル企業に後れを取ったインテルは、2021年にパット・ゲルシンガー氏をCEOに迎えて立て直しを図った。同氏は、これらのライバルを飛び越えると同時に、主要な受託半導体メーカーになる戦略を打ち出した。成功するには、インテルの半導体製造能力を大幅に拡大する必要があった。

 だが、半導体工場は1カ所につき数百億ドルのコストがかかり、建設には数年を要する。そのためインテルは、これら投資からの見返りを得る前に、製造拡張に大金を投じなければならなかった。

 インテルとしては、最先端チップに対する需要が顕在化するまで工場建設を待っていたら、その成功から利益を得ることはできなかった。現在のAI関連企業も同様のジレンマに直面している。AIのビジネス上の可能性が実証されてから投資を始めたのでは遅い、と考えているのだ。