習近平国家主席Photo:Pool/gettyimages

中国、「構造問題」解決の展望見えず
「高市発言」で日本の水産物輸入も停止

 米中貿易戦争が、トランプ大統領と習近平国家主席との会談で、対中関税10%分削減や中国のレアアース輸出規制強化の1年延長が合意され、“休戦”の状況になったが、日中関係は険悪化の様相だ。

 高市首相が、台湾有事に関連して言及した「存立危機事態」発言に中国側が反発、在大阪中国総領事の「汚い首は切ってやるしかない」という過激なSNS投稿に、今度は日本政府が抗議をするなどの事態になっている。

 収拾に向けた外務当局の協議も始まったが、中国側は、観光などでの日本への渡航自粛や留学への「慎重な検討」を国民に呼びかけたのに続き、11月19日には日本の水産物を事実上の輸入停止に踏み切った。中国にとって台湾問題は「核心的利益の中の核心」とされ、対日強硬姿勢が長期化する懸念もある。

 外国人訪日客では最多の中国人客の消費はインバウンド消費の約2割を占めるだけに事態が悪化すれば日本経済への影響も大きいが、ただし経済に課題を抱えることでは中国も深刻だ。

 長期停滞が続く中、10月20~23日に開かれた中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)では、2026年からの新たな5カ年計画が採択され、新エネルギーや新素材、量子技術などの戦略的新興産業や未来産業の構築や、「新質生産力(イノベーション)」創造のための科学技術の「自立自強」などの重点政策が掲げられたが、不動産不況脱却や、投資や供給の過剰体制による「内巻(破滅的競争)」の是正では踏み込んだ対策は示されなかった。

 5カ年計画を見る限り、構造的問題への改革意欲は低下したようにみうけられる。

 5%成長の達成は見通せず、国内経済停滞に対する不満を外に向けるため、日本への強硬姿勢や輸入停止などの措置が長期化する懸念もある。