米自動車市場、価格高騰で消費者に変化 中古車購入やローン長期化も米コロラド州ボルダーの自動車販売店
Photo: Chet Strange for WSJ

 ここ数年、自動車を購入する米国の消費者にとって価格の高さが問題になることはないように思われた。今年に入って新車の平均価格が5万ドル(約777万円)に近づく中でも、ディーラーが心配していたのは、この値段が客を遠ざけるのではないかということでなく、在庫が十分に確保できるかということだった。

 だがそのような日々は終わりを迎えつつある。

 自動車ディーラーやアナリストおよび業界データによれば、負担が増す中で消費者は、新車に払える金額に上限を設け始めている。自動車の購入者はより小型の車両や中古車を購入する動きが見られるほか、より長期間のローンを組み、値引きを待つようになっているという。

 テキサス州東部でディーラーを経営するロバート・ペルティエ氏は、「顧客に聞かれるのは『どうやったら支払えるのか』だ」と説明。同氏によると、来店者数は依然として多いものの減少傾向にある。また小型のシボレーのトラックスなど、より安価な車両に顧客が流れているという。

 ペルティエ氏は「借金を抱え、給料ギリギリの生活をしている人もいる」と述べた。

 米国の自動車業界にとって、2025年は税制優遇や規制緩和の波に支えられた好調な1年になるはずだった。複数のアナリストは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や半導体不足で打撃を受けた自動車メーカーが、今年はようやく工場をフル稼働させると予想。年間販売台数は3年連続で増加するとみていた。

 しかし、現在の見通しでは、2025年は成長が鈍化するか横ばいにとどまる可能性があり、2026年も同様の見込みとなっている。

 自動車業界には楽観的になる根拠があった。新型コロナ後の供給不足を受け、車両価格は高騰したが、在庫が回復し販売台数が歴史的な水準に近づいても、消費者は高価格を受け入れ続けていた。2025年に入ってからも、消費者は食洗器やビールなどの買い物を控える一方、自動車に関しては価格を気にせず購入していた。