Photo:Chung Sung-Jun/gettyimages
日中関係が再び急速に悪化している。日本の高市早苗新首相が11月7日、中国による台湾への武力行使は自衛隊の派遣につながり得ると示唆する発言を行ったためだ。これに対し中国は即座に対抗措置に出て、海警局の船舶が日本と領有権を争う島々の周辺海域を航行するとともに、日本の離島周辺を軍用ドローンが飛行した。
より重大な措置は経済的なものだ。中国は非公式な威圧という古い手法を再び持ち出している。明確な輸出規制とは異なり、こうした偽装された措置は管理が難しくエスカレートするリスクをはらむ。各国政府や企業は対応策に取り組まなければならない。
中国は11月14日以降、一連の制限措置を段階的に強化してきた。自国民に観光や留学での日本への渡航を控えるよう促したほか、少なくとも2本の日本映画の公開を延期し、日本産水産物に対する全面的な輸入停止に再び踏み切った。2023年8月に導入されたこの禁輸措置は、高市氏の発言の前日に緩和されたばかりだった。
10月に発動されたレアアース(希土類)の輸出規制強化など最近の経済制限の場合とは異なり、中国は正式な制裁を科したことを否定。ボイコットは世論を反映したものだと主張し、官僚的な専門用語を使い真意を隠している。水産物の輸入停止は(今回も)、表向きは国民の健康を核汚染から守るために必要な措置とされている。
だが、日本の経済的リスクは現実の問題だ。観光業は国内総生産(GDP)の約7%を占め、訪日客全体の約5分の1は中国人だ。旅行会社は団体パックツアーの提供を停止しており、中国の複数の航空会社は航空券の払い戻しを提示した。ある推計によれば、キャンセルされた航空券は50万枚に上る。日本に来ている留学生の3分の1以上が中国人であり、中国は日本の水産物の最大の輸出市場だ。
これらの動きから、中国が依然として独特の威圧的な手法を使い続けていることが分かる。最近では、中国は今や基盤となる官僚制度を整備し、欧米型により近い法律尊重主義に転換したとの見方があるが、その認識に反する動きだ。確かに中国は新たな制裁の枠組みを使い始めている。その中には、「信頼できないエンティティーリスト」や反外国制裁法、輸出規制の拡大などがあり、これらは米国政府が用いている方法とそっくりだ。中国が10月に発表したレアアース規制は、米国の「外国直接製品(FDP)」ルールや半導体輸出規制に着想を得たもので、外国企業に対し、少量でも中国産レアアースを含む製品や中国の技術に依存した製品を輸出する際は中国政府の許可を得ることを義務付けている。







