営業担当者は、それぞれの現場を知り尽くしたプロを相手に自社製品を売り込むわけですから、生半可な商品知識では太刀打ちできません。

 まずはあらゆる資料を読み込み、世界中の誰よりも、自分が扱う商品のあらゆることを知り尽くす。そこが営業パーソンの出発点になります。

 もちろん努力は必要です。

 商品の知識を身につけるといった苦労は早い段階でしたほうが多くの成果を得られます。「早いうちの苦労は買ってでもしろ」と自分に言い聞かせて、力の限り自分を鍛え上げてください。

 私自身、決して物覚えがいいほうではないので、ここは本当に苦労しました……。

先輩社員と二人三脚で
プレゼンをつくりあげる

 会社と商品の知識が身についたら、次はそれを説明する練習法です。

 まずはお客様に会う場面を想定して、台本を書くことから始めます。どう説明すれば会社と商品の魅力が伝わるか。相手は何を知りたいと感じているのか。ダラダラと冗長にならず、簡潔でわかりやすく伝えるにはどうすればいいか。

 考えに考えて台本を書き、手直しや工夫を繰り返してから、指導役の先輩に見せてアドバイスをもらいます。

 先輩のOKが出て台本が完成したら、それをすらすらと口にできるようになるまで練習を繰り返します。

 ここからはもう、反復あるのみ。自信を持って説明できるようになったら、先輩に聞いてもらい、再びアドバイスを受けます。

 キーエンスでは会社の制度として先輩が後輩を指導することになっていますが、あなたの会社にそういう制度がなかったとしても、ぜひ同じ取り組みをしていただきたいと思います。

 たとえば台本のテキストや説明の自撮り動画を先輩や上司にメールで送り、「お時間があるときにご覧いただき、アドバイスをいただけませんでしょうか」といった風にお願いしてみましょう。

 どうしても先輩や上司の協力を得られないときは、同僚などの力を借りるのも手です。その場合は、「説明を聞いて、違和感のある部分がないか」を重点的にチェックしてもらってください。