これは野球にたとえると打者が対戦相手の球種を覚え、それぞれの打ち方を身につけるのと似ています。
必要なのはやみくもな努力ではなく、やるべき練習を、できるようになるまで繰り返すこと。台本を書いたり、わざわざ人に見てもらうのは面倒に思えるかもしれません。でも、これが後々絶大な効果を発揮するのです。
同期でビリの口べただった私でさえ、練習に練習を重ねることでスラスラと説明が口から滑り出すようになったのですから。
ひょっとすると、これがいちばんつらい工程かもしれませんが、仕事に限らず練習の成果を誰かに見てもらいアドバイスを受けるのは、上達の近道なのです。
一方通行の商品説明では
相手の心に響くわけがない
商品説明がスムーズにできるようになったら、次は相手に合わせる練習です。
キーエンスでは指導係の先輩が取引先、自分が営業担当の役を演じるロールプレーで練習を重ねます。
先輩の出方に応じた対応を練習する、という意味合いも大きいのですが、それ以上に意識したいのは「常に相手を観察すること」、そして「一方通行にならないこと」です。
取引先役の先輩を観察する際のポイントは、「相手が面談に退屈していないか」。
自分の説明に興味を持ってくれているか、退屈していないかを確かめます。相手が退屈しているようなら、自分の説明が一方通行になってしまっている証拠。説明が相手に響いていないということですから、何が問題だったのか、先輩に確認しましょう。
「何かご質問は?」は
言ってしまいがちなNGワード
説明中は、ひと区切り付くたびに問いかけを挟むようにします。
「ここまでで……」
「今の説明を聞いて……」
と切り出すといいです。
よくやってしまうのが、「何かご質問は?」という問いかけですが、これ、NGです。
この質問をして答えが返ってくるのは、相手がその商品にかなり興味を持っている場合だけ。ほとんどの場合、「いや、特に……」といった反応になってしまいます。







