写真はイメージです Photo:PIXTA
あるとき突然ずれ動き大地震を起こす活断層は、「怖くて悪いもの」だと思われがちだろう。しかし、日本の地形や文化は、活断層の働きによって形づくられてきた。何げなく暮らしていると、なかなか気づくことができない活断層の恩恵と実態を京大元総長が明かす。※本稿は、地球科学者の尾池和夫『活断層のリアル 京大元総長が語る入門講義』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
「1000年楽しく10秒怖い」の
恩恵を受けて発展した京都
活断層は怖いという概念が一般的になっていると思われますが、実は活断層のおかげで私たちは豊かな暮らしをしているのです。そのような活断層の一面を紹介したいと思います。
そのことがわかると、活断層とともに暮らしてきた日本人の知恵が見えてくると思います。
活断層が動いて大地が大きく揺れるのは10秒ほどの間です。その間に怪我をしないように日頃から備えておきましょう。
1つの活断層がまた動くのは1000年以上先です。10秒の揺れを乗り切れば、あとは恩恵を受けて暮らせます。
防災を担当する役所の方が私の話を聞いて、「1000年楽しく10秒怖い活断層」と書いて掲げてあるのを見たことがあります。
活断層が活動する、つまり大地震が起こると、その近くの大地が大きく揺れて災害が起こることが多くあります。約100万年の間に活断層が繰り返し同じ向きにずれ動いて、その蓄積が日本列島のさまざまな場所の地形を形作ってきました。
横ずれの活断層であってもその両端の部分では上下にずれます。例えば京都盆地の東にある花折断層では、南端部の上下運動によって京都大学の東に吉田山が隆起してできています。







