
東日本大震災から14年。あの未曽有の大災害の傷が癒えないうちに、今度は首都直下型地震が関東全域を襲うかもしれない。その発生確率は、今後30年以内に70%で、しかも被害は、3・11を超えると予測されている。そんな最悪のシナリオに備え、私たちがいまできることとは?※本稿は、地球科学者で京都大学名誉教授の鎌田浩毅『災害列島の正体 ―地学で解き明かす日本列島の起源』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
予兆のない直下型地震は
甚大な被害を生む
震度3以上の地震は日本国内で毎月のように発生している。ここまで地震が多くなったのは、「3・11」からであり、以前に比べて内陸地震は大幅に増えている。内陸地震はいずれも、震源の深さが地表から20キロメートル以内の直下型地震である。
直下型地震は予兆もなく、突発的に起きる。1995年に関西で起きた阪神・淡路大震災は直下型地震の典型で、明け方に突然、襲われたため人が逃げる暇もほとんどなく、建物の倒壊被害も甚大で、多くの犠牲者を出した。
日本には2000本以上の活断層が存在することがわかっている。
海溝型の巨大地震のあと、内陸部の活断層が活発化し、直下型地震を起こした例が数多く報告されている。
たとえば第2次世界大戦中の1944年、名古屋沖で東南海地震(M7.9)が起きた1カ月後に、愛知県の内陸で直下型の三河地震(M6.8)が発生した。
また、1896年に東北地方の三陸沖で起きた明治三陸地震(M8.2)の2カ月半後に、秋田県で陸羽地震(M7.2)が発生している。