花折断層のある近畿北部の地域は、日本でも有数の活断層地帯です。そこにある活断層のいずれもが、約100万年の間に同じようにずれを蓄積してきました。その結果、近畿北部の山地はいずれも同じように動いて、約900メートルの高さになっています。
一方、山は高くなると浸食で削られます。高さを保つということは浸食によって低くなるよりも活断層運動で高くなる方が勝っているということを意味しています。
浸食で低くなるのは1000年あたり1メートルくらいです。隆起はそれより速いということになります。
近畿北部の盆地や平野は地図で見ると何となく四角になっています。盆地や平野の縁には活断層運動があって、盆地や平野は活断層運動で隆起した山地に囲まれているのです。盆地や平野には人びとが集まってきて集落を作り、やがて大きな都市に発展しました。
このようにして、近畿北部の地域では、盆地や平野、つまり大都市の直下に活断層があり、そこには時々大地震が起こるという仕組みが生まれました。
例えば京都盆地には平安京以来の都が長期間置かれました。活断層に囲まれた盆地の都は、世界的に見ても珍しい城壁のない都として栄えました。
京都の発展を支えた
断層だらけの地下
京都盆地の地下は大きな水甕と言われています。
私たちは30年前から、京都の活断層の調査と京都盆地の地下構造調査に取り組みました。さまざまな手段を用いて調査を実施した結果、京都盆地の東西の端や山科盆地の東西の端には活断層があり、活断層を境にして基盤岩(その地域における最も古い岩石のこと)の隆起と沈降があることがわかりました。
隆起した山地から浸食された土砂が沈降する盆地に分厚く堆積して、その堆積(たいせき)層の中に豊富な地下水が含まれているという構造が明らかになりました。
図4-1は京都盆地の東西方向の断面を、図4-2は南北方向の断面を示しています。
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