『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、年収が上がる人のたった一つの考え方について著者である「就活マン」こと藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。
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年収は「努力」だけでなく、「選ぶ業界」で大きく変わる
就活や転職でよくある勘違いがあります。
それは、「年収は自分の努力でほぼ決まる」というものです。
もちろん努力は大切です。ですが、同じ努力でも“どの業界で働くか”によって、成果の価値がまったく変わると僕は考えています。
僕の友人のKくんは、その典型例でした。まずはKくんの実例を紹介します。
(年収300万円・残業50時間/月・年間休日105日)
25歳:医療機器業界の中小企業へ転職
(年収500万円・残業40時間/月・年間休日120日)
30歳:医療機器業界の中堅企業へ再転職
(年収1000万円・残業35時間/月・年間休日120日)
いかがでしょうか。同じ人物なのに、年収が“300 → 500 → 1000万円”と伸びています。
ですがKくん本人は、性格も働き方も大きくは変わっていません。お客様の課題を聞き、丁寧に提案し、関係を築く。やっていることは、ほぼずっと同じなんですよね。
では、何が年収を押し上げたのか?
答えはシンプルで「業界を変えた」ことでした。
ブライダル業界と医療機器業界、何が違うのか?
違いは大きく3つあります。
1つ目は、利益構造の違いです。
ブライダル業界は原価や季節性の影響が大きく、利益が不安定になりやすい。一方で、医療機器は高単価で、保守や更新による継続収益が積み重なっていきます。
2つ目は、“一度の努力が何回効くか”の違いです。
結婚式は基本的に一度きりの取引です。しかし医療機器は導入後も点検や消耗品で取引が続きます。努力が積み上がりやすい。
3つ目は、価格の主導権です。
ブライダルは値引き交渉が起きやすい市場ですが、医療機器は規制・教育・運用ルールなどの理由で簡単に乗り換えられません。結果、価格が崩れにくく、企業も社員に還元しやすい。
つまりKくんは、「努力の価値が上がる市場」へ移動しただけです。
同じ働き方でも“換金レート”がまったく違う。だから年収が跳ねたんですよね。
業界を選ぶときに大切なたった3つの視点
ここまで聞くと、「結局どんな業界を選べばいいの?」と思う人もいるはずです。難しい分析は必要ありません。以下の3つだけ押さえれば十分です。
①粗利が厚いか
→ 売上総利益率と営業利益率が安定しているか。
②継続収益があるか
→ 1回の努力が積み上がる仕組みがあるか。
③価格の主導権があるか
→ 値引き競争になりにくい構造か。
志望業界の上場企業を2社を見れば、すぐに分かります。
新卒就活で選び間違えたら終わりではない
最後に、これだけは強く伝えたいです。
「最初の就職で業界を外したら終わり」というのは完全な誤解です。
大切なのは、5年おきに自分がいる業界を見直すこと。努力の総量を増やす前に、努力の“単価”を上げること。そして「この業界は自分の価値が伸びやすいか?」と考える習慣です。
拙書「脇役さんの就活攻略書」では、就活や転職で役立つ業界選択の重要性について、これよりも更に詳しく書き込みました。1つでも多くの情報があなたのキャリアの助けになることを祈っています。








