イングランド銀行(BOE)は、ポール・タッカー副総裁が今年秋に退任する予定と6月14日に発表した。

 1年前、「LIBORスキャンダル」が英国で大騒ぎになるまで、タッカー副総裁はキング総裁の最有力後継候補だったが、同問題でつまずいた。また、金融危機の責任はBOEにもあるとの批判が英国民の間で根強いこと、大胆な金融緩和策にBOEが消極的であることに英政府がいら立っていたことにより、オズボーン財務大臣は、BOE出身者ではなく、カナダ銀行総裁の若いマーク・カーニー氏(今年48歳)を選んだ。

 英議会で明らかになったが、英国がこのカナダ人に支払う報酬は、年収80万ポンドと25万ポンドの住居費を含む諸手当だという(計1億5800万円以上)。

 キング総裁は先日も「需要を上向かせられる魔法のような弾丸は存在しない」と金融政策の限界を主張していた。それは正論であり、7月1日に新総裁に就任するカーニー氏が切れるカードは実はそう多くはない。おそらく、FRBや日銀が採用してきた時間軸政策(金利ガイダンス:超低金利を長く継続すると市場に約束する政策)を彼は提案するだろう。