「マリア!」男性の声が、漆黒のカリブ海に降り注ぐ雨を切り裂いた。大波に翻弄される2隻の船の間でかろうじて聞き取れる声だった。小さな漁船に乗った人たちが、夜の緊急照明弾のように携帯電話を掲げた。より大きな船が近づいてきた。分厚いジャケットと黒い野球帽に身を包んだ人影が腕を振った。「私よ、マリアよ」ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は、ノルウェーでノーベル平和賞を受賞するため母国を脱出する最も危険な行程を乗り越えたばかりだった。脱出させるチームが彼女を救助したのは9日早朝だった。その一部はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が閲覧した動画に記録されている。