「人に恵まれる人」がいつも伝えている「たった6文字の言葉」とは？【名プロデューサーが明かす】

宮川朋之・日本映画放送株式会社代表取締役社長インタビュー

2025年12月24日 6:00

宮川　例えば、VFXの専門家が「手作りのミニチュアとCGを融合させて、温かみのある映像を作りたい」と提案してくれた時も、私たちはその挑戦を全面的に支持しました。

　リーダーが個人を深く信頼し、「悩んだら挑戦する」とチームの背中を押す。この両輪が揃って初めて、人は本当の意味で輝き、素晴らしいものが生まれるのだと思います。

「人に恵まれる人」が伝える
“たった6文字の言葉”

――個人への深い信頼と、チーム全体への挑戦の奨励、その両輪が大切なのですね。最後に、その「個人への信頼」を伝える、宮川さんが最も大切にされている言葉、つまり「人に恵まれる人」がいつも伝えている究極の言葉があれば教えていただけますか。

宮川　これまでお話ししてきた、私たちが俳優の方々にお伝えしている想いを、たった一言で表現するなら、それは「あなただから」という6文字の言葉に尽きます。

「あなたの人気が必要だ」とか「あなたの力で作品を成功させてほしい」ではありません。「他の誰でもない、あなただから、この役をお願いしたいのです」と。この言葉こそが、人の心を動かす、最もシンプルで、最も強力なメッセージだと私は信じています。

　例えば、新しい『鬼平犯科帳』の主演を松本幸四郎さんにお願いした時も、単に「鬼平をやりませんか」とは言いませんでした。「お祖父様、叔父様が築き上げてこられた『鬼平犯科帳』の世界観を、幸四郎さん、あなただからこそ、新しい時代へと継承し、さらに進化させることができると信じています」と。

　この「あなただから」という言葉には、相手の過去（キャリアへの敬意）、現在（その人自身の魅力）、そして未来（共に創り上げる作品への期待）のすべてが含まれています。

　人は、自分が替えのきかない唯一無二の存在として認められた時に、最も力を発揮するものです。それは、キャリアのある名優であっても、若手のスタッフであっても変わりません。このシンプルな言葉こそが、相手の心に火を灯し、最高のパフォーマンスを引き出す魔法の鍵なのです。

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