みやがわ・ともゆき/1967年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業。1998年「日本映画専門チャンネル」「時代劇専門チャンネル」の開局から編成、企画を担当。時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇、35作品以上の企画、プロデューサーを務める。松本幸四郎主演「鬼平犯科帳」シリーズ(監督:山下智彦)、「おいハンサム!!」(監督:山口雅俊)連続シリーズ&劇場版のエグゼクティブ・プロデューサー。2025年「伊丹十三4K映画祭」、アクション時代劇「SHOGUN'S NINJA」(監督:坂本浩一)企画。2022年常務執行役員、2025年6月から現職。
かつて地上波テレビの花形だった時代劇。だが、いつしか「オワコン」と呼ばれ、私たちの前から姿を消した。しかし、その灯は消えていなかった。舞台をCSなどの有料放送に移し、今や「時代劇専門チャンネル」は視聴可能世帯数約683万(2025年8月末時点)を突破、月間視聴率も日本一をキープするほどの人気を博している。この奇跡の復活劇を率いるのが、日本映画放送の宮川朋之社長だ。数々のヒット作を手掛けてきた名プロデューサーは、ビジネスにおける「できる人」をどのように見極めているのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)
「できる人」には“せっかち”が多い
30秒でジャッジする
――宮川さんはプロデューサーとして『鬼平犯科帳』シリーズや数々のヒット作を手掛けてこられました。成果を出すプロデューサーに共通する特徴や思考法があれば教えてください。
宮川朋之(以下、宮川):ヒット作を出せるプロデューサーは、せっかちな人が多いと思います。
というのも、30秒でジャッジしたことも、3時間かけてジャッジしたことも、結果はほとんど変わらないんですよ。むしろ重要なのは、ジャッジしたことが間違っていたと気づいたときに、それをすぐに修正できるかどうか。その修正の判断もまた、30秒で下すんです。
時間をかければ良い判断ができるわけではありません。ビジネスの世界では、むしろ「熟考という名の停滞」に陥りがちです。もし同じ結果になるなら、30秒で判断できる人間のほうが、より多くのことをこなし、より多くの仕掛けを考えられる。当たり前のことですよね。
目まぐるしく状況が変化する現代において、この「決断の速さ」こそが、仕事の成果を左右する重要なスキルなんです。では、どうすればそのスピードと精度を身につけることができるのか。それには、『踊る大捜査線』を手掛けた亀山千広プロデューサー(当時)から教わった言葉が役立つと思います。







