「この上司に相談してもムダ」部下が軽蔑する“浅い話し方”とは？

「この上司に相談してもムダ」部下が軽蔑する“浅い話し方”とは？
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。

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部下から「相談してもムダ」と思われてしまう上司がいる

　仕事で困っている部下やキャリアで悩んでいる部下が上司に相談をする。どこの職場でもよくある光景だ。しかし、そうして相談をしたことがきっかけで、部下から「相談してもムダ」と思われてしまう上司もいる。

「レッテルを貼る」と、部下から「相談してもムダ」と思われていく

　部下から「相談してもムダ」と思われてしまう話し方の一つは、話の中で「レッテルを貼る」ものだ。

「レッテルを貼る」とは、人や物事にラベルをつけて、そのラベルによるパターン認識でなんでも決めつけてしまうことだ。たとえば、部下への次のような一言だ。

「山本さんは文系だから、そういう数字を使うプロジェクトは苦手だよね」

　この「文系」のように、レッテルを貼る人は、話の中で人や物事に抽象的なラベルをつけてそのパターン認識で決めつけるのだ。

「レッテルを貼る」と、部下からは「否定に開かれていない」ように聞こえる

　レッテルを貼る上司が部下から「相談してもムダ」と思われてしまう理由は、現実や具体がどんなであっても付けた頭の中のラベルで答えを決めつけてしまうので、まわりにはその人の話は“答えありき”で「否定に開かれていない」ように聞こえるからだ。

　さきほどの「山本さんは文系だから、そういう数字を使うプロジェクトは苦手だよね」という例で言えば、文系であっても数字が得意な人もいれば苦手な人もいる。そうであれば、山本さんの現実や具体を見て考えてあげて判断するのが一番だ。しかし、現実や具体を見て考えるのではなく、自分の頭の中のラベルで答えを決めつけられてしまうので、その上司の話は部下からすると“答えありき”で「否定に開かれていない」ように聞こえるのだ。

　話す前に決めつけられていて、現実や具体を見たり考えたりしてくれない以上は、部下からはその上司にそれ以上に相談する意義を見出せず、もう「この上司に相談してもムダ」と思われてしまうのだ。

「レッテルを貼る」理由は、考えなくて済むから

　こういう上司が会話の中でなぜ「レッテルを貼る」のかと言えば、考えなくて済むからだ。

　現実や具体はどこまでいってもさまざまだ。その都度に一つひとつを考えなくてはならない。そんなときに、抽象的なラベルで「レッテルを貼る」と、現実や具体を考えずにパターン認識だけで判断できる。このため、一つひとつの現実や具体を考えるのが面倒な人にとっては「レッテルを貼る」ことで判断するのは楽なのだ。

　特に経験の量が上司ほど、放っておくと過去の経験に基づいたラベルでのパターン認識に走りがちだ。

　しかし、目の前に現実や具体があるのにそれを見て考えるのを放棄して、レッテルを貼ってパターン認識で話してばかりいると、部下からは“答えありき”で「否定に開かれていない」ので「この上司に相談してもムダ」と思われていってしまうのだ。最悪な場合には、目の前の自分をしっかりと見て考えてくれておらず、人の個性を軽視している人だと軽蔑されたりもする。

レッテルを貼らずに「否定に開かれた議論」をしよう

　具体の相手や具体の物事が目の前にあるのに、その現実をしっかりと見て考えず、レッテルを貼ってパターン認識で話してしまうのは、考えるのをサボっているだけだ。そんな考えをサボって決めつける上司に誰が相談をしてみようと思うだろうか。そして、誰が頼りにしようと思うだろうか。

　目の前に具体があるのであれば、レッテルを貼ってそれを決めつけずに「否定に開かれた議論」をしよう。そうした議論ができる上司には、部下はどんどん相談し、そして、考えやアイディアをどんどん話してくれるだろう。

　たかが言葉、されど言葉。自分の使う言葉次第で、部下やまわりからの評価、そして、部下やまわりと一緒に生み出せる結果が変わってくるのだ。

（本原稿は『1メッセージ究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです）