『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、即アウトな面接での振る舞いについて著者である「就活マン」こと藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。
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能力不足よりも、致命的なもの
面接官が「この人はないな」と判断する理由として、多くの人は能力不足を想像します。
論理性が弱い、実績が乏しい、話が分かりにくい。確かにマイナス要素ではありますが、実際の面接ではそれだけで即アウトになることは少ないんですよね。
なぜなら、新卒や若手に完成度の高さは求められていないからです。
面接官は、現時点での能力よりも「この人は入社後に伸びるか」「組織の中で機能するか」を見ています。多少不器用でも、素直さや思考力があれば評価は覆る。そのため、能力不足は“改善可能な欠点”として扱われやすい。
一方で、取り返しがつかない致命的な欠点があります。
それが「この会社じゃなくてもよさそうだな」と感じさせてしまうことです。
どれだけ受け答えが整っていても、どれだけ論理的でも、この違和感が出た瞬間、評価は一気に下がる。なぜならこれは能力ではなく、姿勢や覚悟の問題だからです。
面接官は「この人を採りたいか」だけでなく、「この人は本当にうちに来るか」を同時に見ています。この視点を外すと、面接はほぼ確実に失敗します。
面接官の立場に立ったときの内定辞退の恐ろしさ
面接官が志望度を異常なほど気にする理由はシンプルです。内定辞退は、採用側にとって最も避けたい失敗だからです。
内定ひとつ出すまでに、複数回の面接、評価会議、現場とのすり合わせがあり、多くの時間とコストがかかっています。
しかも新卒採用の場合、枠は限られている。その枠を使って内定を出したにもかかわらず、「やっぱり他社に行きます」と言われると、採用計画そのものが崩れます。
だから面接官は、常にこう考えています。「この人は、条件が変わったら簡単に辞退しないか」「もっと有名な会社から内定が出たら、そちらに流れないか」。
ここで重要なのは、志望動機の中身そのものではありません。
話の“温度”です。企業理解はしているが、どこか距離がある。話は正しいが、腹をくくった感じがしない。こうした違和感は、驚くほど伝わっています。
僕は求人サイトを運営していますが、人事の方に聞くと「志望度が低い人は話していてすぐに分かる」と言いますね。
面接官は何百人、何千人と学生を見てきています。その経験上、「辞退する人の雰囲気」も分かっている。その雰囲気を感じ取られた瞬間、評価は静かに下がっていきます。
志望度の高さは徹底的に伝える
多くの就活生が勘違いしているのが、「第一志望です」と言えば志望度は伝わるという考えです。現実には、この言葉自体にほとんど意味はありません。面接官は何度も聞いてきたし、鵜呑みにもしない。
見られているのは一貫性です。
なぜこの業界なのか、なぜこの会社なのか、入社後にどんな役割を担いたいのか。この3点が無理なくつながっているか。他社に当てはめた瞬間に違和感が出るか。
ここが曖昧だと、「とりあえず受けているだけ」という判断になります。
逆に、志望度が高い人は共通して「この会社でなければ成立しない話」をしています。
事業、組織、価値観のどこかに自分の意思決定を結びつけている。評価される側として振る舞うのではなく、「この会社を選んでいる立場」で話している。
面接官が内心「この人はないな」と思う瞬間、ダントツ1位は、能力不足ではありません。
この会社じゃなくてもいい人だと感じた時です。ぜひ志望度の高さを伝えることにこだわり、志望動機や逆質問など、1段内容を深めていきましょう。








