男性更年期写真はイメージです Photo:PIXTA

40代を過ぎて現れる、若い頃には感じなかった心身の不調……それは、加齢に伴って男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下することで生じる「男性更年期」の症状かもしれない。前回に引き続き、働き盛りのビジネスパーソンを悩ませる男性更年期の特徴と、対策のコツを解説する。(デジタルハリウッド大学大学院特任教授、東京科学大学医学部臨床教授 加藤浩晃)

男性ホルモンは「年齢」よりも
「ストレス」で減っていく

 一般には、男性ホルモン(テストステロン)は「年齢とともに減るホルモン」だと説明されることが多い。確かに、20代をピークにゆるやかに低下していくのは事実だ。しかし、40代で急に調子を崩す人が多いのは、単なる加齢だけでは説明がつかない。

 近年の医学研究では、慢性的なストレス状態が続くと、テストステロンの分泌や作用が低下しやすくなることが分かってきている。

 責任ある立場での意思決定が続き、長時間労働が常態化し、睡眠時間が削られる。さらに運動する余裕もなくなり、体を動かす機会が減っていく。こうした「典型的な40代の働き方」が重なると、体内ではストレスに対抗するためのホルモンが常に分泌され続ける状態になる。

 この状態が長引くと、体は「生き延びること」を優先する方向に傾き、活力や意欲を支えるテストステロンの分泌が相対的に低下しやすくなる。つまり、40代男性の多くが陥っているのは、「年齢のせいでテストステロンが減った」のではなく、ストレスや生活習慣の影響によって「出にくくなった」状態なのだ。

 これは疫学研究や臨床研究でも繰り返し示されている知見であり、強いストレス環境や生活習慣の乱れが重なる男性ほど、テストステロンが低い傾向にあることが報告されている。

 では、40代以降も高いパフォーマンスを維持している人は、何が違うのか。