【一発アウト】3年で消える「保険金の罠」身近な人が亡くなった時の鉄則とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。
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保険金の罠に気をつけて! 身近な人が亡くなった時のルール
本日は「相続と保険金」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。
「亡くなった家族が生命保険に入っていたかわからない」。そんなときに頼れるのが、一般社団法人生命保険協会が運営する「生命保険契約照会制度」です。
この制度を使えば、生命保険協会に加盟する全生命保険会社に対して、一括で契約の有無を調査することが可能です。2021年7月に開始されて以降、相続手続や老親の財産管理において、多くの人に利用されています。
どんなときに使える?
この制度は、以下のような場合に利用できます。
・ご親族が亡くなったあとに保険契約の有無を確認したいとき
・ご親族が認知判断能力を失ったとき(要・医師の診断書)
照会の対象は、照会対象者が契約者または被保険者となっている個人保険契約で、照会受付日時点で有効に継続している契約のみです。死亡時の照会では、死亡日から少なくとも過去3年間に遡って調査されます。
照会できない契約は?
以下の契約は照会対象外です。
・解約済・失効済・死亡保険金がすでに支払済の契約
・財形保険・財形年金保険
・支払いが開始された年金保険
・据置中の保険金など
誰が申請できる?
故人の保険契約の有無を確認したい場合、制度を利用できるのは、以下に該当する人です。
・法定相続人
・法定相続人の法定代理人(成年後見人、親権者など)
・法定相続人の任意代理人(弁護士・司法書士・行政書士)
・遺言執行者とその任意代理人(同上)
※相続財産清算人、税理士、破産管財人などは対象外です。
利用方法と料金
生命保険協会の専用サイトからオンラインで申請します。webフォームから書面申請の申請書を取り寄せ、書面にて申請することも可能です。申請時には、生命保険協会および加盟会社への個人情報の提供に同意する必要があります。結果はおよそ2週間後にわかります。
利用時期 料金(税込)
2026年3月31日まで WEB / 書面共通3000円
2026年4月1日以降(改定後) WEB 申請6000円、書面申請7000円
結果が出たらどうする?
照会の結果、契約が存在することがわかった場合は、照会者が直接その保険会社に連絡し、契約内容の確認や保険金の請求手続を行います。その際は、「生命保険契約照会制度を利用した」と伝えるとスムーズです。ただし、照会者が法定相続人であっても、保険金の受取人が別に指定されている場合などは、契約内容を教えてもらえないこともあります。
「保険金の罠」、時効に気をつけて!
よくある質問① 保険金の請求には時効があるの?
→はい。保険金の請求権には3年の時効があります。これは、一般的には死亡の事実を知った時点から起算されます。ただし、裁判上の解釈や事情によって判断が分かれることもあるため、心当たりがある場合は早めの行動をオススメします。
よくある質問② 外資系保険会社や職場の団体保険も照会対象?
→いいえ。生命保険協会に加盟していない保険会社(外資系を含む)や、勤務先を通じて加入する団体保険などは対象外です。調査結果が「契約なし」と返ってきた場合でも、こうした契約が他に存在する可能性があります。
(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)








