生産性のプロ、元マッキンゼーの勝間和代が、「家電(テクノロジー)」にはまった。そこで本連載では、家電歴40年、2000以上の家電を自腹で試した勝間和代氏による本、『仕事と人生を変える 勝間家電』の中から、家電(テクノロジー)を使って生産性を上げ自分の時間を取り戻す方法を紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石塚理恵子)

【勝間和代が教える】結論「賃貸vs持ち家」どっちが得?
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持ち家派? 賃貸派?

 忙しいみなさんに向けて、家電・ガジェットなどテクノロジーを使い倒して「自分の時間を取り戻す」ことをおすすめした本「勝間家電」の中にも書いたのですが、自分の時間を取り戻そうと思うなら、テクノロジーや家電の導入を考える前に「自分の家をどこに置くか」も改めて真剣に考えてほしいと思っています。

「家を買っているから動かせない」をあまりに優先させると、通勤とのバランスで生産性を上げることが難しくなってしまうからです。

持ち家の場合

 持ち家の場合は将来的にも最適な家の住所を考える前に、価格帯で住所が決まることが多いので、生活の変化とともに家を動かせない可能性が高いのですが、通勤に不便となったとき、その状態のまま便利なモノ(家電)だけ増やしても、本末転倒に陥ります。

マンションは売って正解だった

 私はいま、都市部の一戸建ての賃貸に住んでいますが、以前、マンションを持っていたときに比べると本当に自由に感じています。

 なぜならいつでも引き払うことができるからです。

 住宅ローンがあると、生活が不自由になることも理解できましたし、人生に借金を背負わないことは、大事なポイントであることにも気がつきました。

「家は動かせない」と思ってはいけない
売却、住み替えもできる

 異動や転職などで、購入した自宅が通勤などに不便になったり、非効率で生産性が低いと思ったときには、本書でご紹介する「モノ」による解決を考える前に、勇気を持って売却、住み替えも検討するようにしてください。

 その方が長い人生を考えたとき圧倒的に生産性が高く、効率的で、健康に長く幸せに生活できる可能性が高まります。

これから家の購入を考える人へのアドバイス

 住宅ローンという形で、特定のパーセンテージの支出を常に住宅費に充てることを決めてしまうと、以降「収入を下げる選択肢」がなくなって、苦しい状況に追い込まれることがあります。

 ローンを組んだら定額の収入がある人生を前提とすることになりますから、多くは雇われの人生が続いたり、転職に関しても躊躇する可能性が高まります。

 このように住宅ローンの最大の難点は、生活を固定することです。

持ち家のメリットは?

 では持ち家のメリットは?

 たしかに下方リスク(家賃上昇など)はなくなりますが、上に行く機会(よりよい環境への移動など)もなくなる可能性があるのが住宅購入だと思ってください。

 家を買うのと借りるのとを比べると、たしかに借りる方が金額的には損になるケースも多いでしょうが、これは住宅を特定の場所に固定し、借金をするという多大なリスクとの交換でもありますから、私はそのことによって最適な場所に住めない時間ロスの方がよほど大きいと考えています。

賃貸の人はその利点を活用すべき

 一方、現在、賃貸の人は、生活の変化に合わせてどの場所に住むのが最適か、通勤時間や、子どもの学校などとのバランスで家を選ぶことが可能です。

 物件の広さも、家族構成に応じて広くしたり狭くしたりできるのも利点です。

賃貸派は引越しを躊躇しては「もったいない」

 にもかかわらず「引っ越しという手続き」を嫌がる人が少なからずいます。

 引っ越しはリスクと思っている人が多いのですが、実際にはこれまでの問題点を解決できるチャンスですし、普段からモノを少なくしておけば、引っ越しはさほど難しいことではありません。

「住宅を持っていないと老後が心配」という人も多いのですが、老後に住宅が必要になったときは、地方などに都心より安い中古住宅をローンを組まずに買うという選択もありますし、さまざまな高齢者専用の賃貸住宅や高齢者専用施設もあるため、少なくとも日本で暮らしている限りにおいては、住む家がなくなることはありません。

「資産形成」は家を買わなくてもできる

 住宅の値上がり益を享受したいという発想の人もいるでしょうが、資産形成をしたいなら、REIT(リート)と呼ばれる不動産投資信託の方がよほど手軽ですし、流動性も高く、財産という面では頼りになります。

 それにもし自分が買った住宅が値上がりしたとしても、その住宅に住んでいる限りは値上がり益を享受できないどころか、さまざまな税金が上がるだけですから、それを考えると、自分が住む物件と資産形成とは、分離して考えた方がいいでしょう。

結論「家は動かせるようにしたほうがいい」

 家を動かせるようにしておいて、通勤場所や子育てに最適な場所を選べる人生を設計したり、最新のテクノロジーを発見・導入したいと思ったときは、それが可能な物件(広さが必要なこともあります)を探せると生産性は高まります。

 住宅に関しては、できるだけ住み替えの自由がある状態を確保すること。

 これをおすすめしたいと思います。

(本稿は『仕事と人生を変える 勝間家電』からの編集記事です。本では生産性を爆上げするテクノロジー・家電を、商品名、価格を含め、具体的に紹介しています)