金塊と手Photo:PIXTA

東証スタンダード上場企業のUNBANKED(アンバンク)の金地金取引を巡り、13億円に相当する金塊が、受け渡し後に決済されずに消失したことが分かった。金塊が何者かに持ち逃げされる巨額詐取事件に発展する可能性もある。この取引にUNBANKEDの大株主が関与している疑いも浮上している。(フリーライター 村上 力)

13億円の金地金が未収に
計画的な「取り込み詐欺」か

 東証スタンダード上場UNBANKED(アンバンク)は2025年12月、約13億円の売上債権の未収が発生し、同額の貸倒引当金繰入額を計上すると公表した。同社は25年3月期売上高が約95億円、純資産は約56億円であり、13億円の損失は企業規模に比して重要性が高い。

 ダイヤモンド編集部の取材によると、売上債権の未収は、同社の金地金取引に関連して発生した。25年11月下旬、UNBANKEDは13億円分の金地金を掛け売りにより引き渡したものの、1週間後の12月1日の決済日になっても入金がないまま、ついに1カ月が過ぎたのだ。

 UNBANKEDは旧社名を「第一商品」といい、長年、商品先物取引業を営んでいたが、20年ごろに顧客への不適切勧誘や顧客資産の流用などが発覚し撤退。経営体制の刷新を求める東京証券取引所と金融庁の要請もあり、融資型クラウドファンディング大手クラウドバンクの前社長、金田創氏が出資者となる「CB戦略1号投資事業有限責任組合」に第三者割当増資を実施することでオーナーチェンジし、UNBANKEDに社名変更した。その後、経営体制の変更を経て開始された金地金取引が主業となっている。

 だが、このオーナーチェンジこそ、新たな危機の幕開けとなった。CB戦略1号の実質支配者は金田氏ではなく、クラウドバンクを水面下で牛耳っていた別の実質オーナーであった。そしてこの実質オーナーは、UNBANKEDを舞台に、クラウドバンク株式を使った錬金術まがいの取引を敢行している。

 ダイヤモンド・オンラインは25年3月、緊急特集『ソーシャルレンディング 闇の紳士録』を公開。その後、CB戦略1号が保有していた株式は、「Akatsuki Capital Works」(以下、アカツキ)という別の投資主体に譲渡されるなど、25年末に至るまで株主構成の変動が続いた。そうした中で起きたのが今回の巨額未収事案だ。

 実は未収となった売掛金の相手先は、13億円もの巨額資金を決済できるとは言い難いペーパーカンパニーだった。UNBANKEDが周到な計画の下に「取り込み詐欺被害」に遭った可能性が否定できない。

 さらに、この取引が「オーナー案件」と呼称され、UNBANKEDの株主構成の変動が、事件の背景にあることも分かった。次ページで明らかにする。