ソーシャルレンディング 闇の紳士録#1Photo:PIXTA

ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクの実質オーナーの関係会社が、クラウドバンクの融資先からコンサルタント料などの名目で約5億5000万円を受け取っていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。融資の原資はクラウドファンディングにより集められた資金だ。実質オーナーが利益を得る一方で、融資先企業は昨年に債務不履行に陥り、多数の投資家に損失が出ている。緊急特集『ソーシャルレンディング 闇の紳士録』の#1で、取材で判明した驚愕の事実を明らかにする。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

投資家の出資金が実質オーナーに還流!?
クラウドバンク内紛の裏で驚愕の事実判明

 個人投資家を中心にこれまでに3000億円の募集実績があるソーシャルレンディング最大手のクラウドバンク(東京都渋谷区、安達哲也代表取締役)で今年1月、長きにわたり現場を取り仕切ってきた元社長の金田創氏が子会社社長を解任され、クラウドバンクグループから追放された。

 ダイヤモンド編集部は、背景に金田氏とクラウドバンクの実質株主との対立があると報じている(『ソーシャルレンディング最大手「クラウドバンク」で社長解任の内紛勃発!実質株主との対立が深刻化か』)。この株主の実質的な所有割合は過半数を占めるとみられ、クラウドバンクの実質オーナーといえる存在だ。

 その後の取材で、驚愕の事実が明らかになった。なんとこの実質オーナーの関係会社が、クラウドバンクの融資先から、長期間にわたりコンサルタント料などの名目で、多額の金銭を受け取っていたのだ。その金額は、判明している1社だけで累計5億5000万円に上る。

 クラウドバンクによる融資の原資は、ソーシャルレンディングで募集した匿名組合出資金である。この融資先は昨年、債務不履行に陥った。その結果、投資家にクラウドバンクが約束した元利金は、支払えていない状況が続いている。

 いわば投資家の損失の裏側で、クラウドバンクの実質株主が利益を手にしていたのだ。俯瞰すると、投資家の出資金が融資先を介して実質オーナーに還流した格好となる。また多額の金銭の支払いが、融資先の債務不履行を招いた可能性も否定できない。

 内紛を契機に、ソーシャルレンディング最大手の暗部が明るみに出つつある。