村上 力
国の集団予防接種でB型肝炎に感染した被害者への賠償が、法務省における事務処理の遅滞により大幅に減少している。その原因を法務省はひた隠しにしている。B型肝炎訴訟を日本で最も多く手掛けるベリーベスト法律事務所の酒井将代表がダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、国の対応への憤りを語った。

集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染した人への国家賠償金の支払いが、今年に入り著しく滞っていることが分かった。ダイヤモンド編集部が国に情報開示請求を行ったところ、賠償金の支払件数は前年比6割程度に落ち込んでいた。法務省における事務手続きの遅れが原因で、デジタル庁主導で導入された新システムに不具合が生じた可能性がある。政府がひた隠す「DX失敗」が、B型肝炎患者に悪影響を及ぼしている。

東証スタンダード上場のANAPホールディングスで、金融業者などから借り入れた41億円が新規事業投資などの名目で提携先に支払われ、その大半が金融業者に還流した疑いのあることが取材で分かった。その結果、ANAPは巨額赤字を計上し、借入金の返済で同社財務は打撃を受けた。問題の取引を独断で実行した前社長は7月にANAPを退職し、東証スタンダード上場サイバーステップの社長に転身。ANAPと同様の金融取引を再び仕掛けている。

M&A仲介大手のM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が、独立開業した元社員らに約2.9億円の損害賠償を求める訴訟を起こしていたが、今年5月に敗訴していたことが分かった。判決では、MACPが社員に書かせていた退職後の競業避止義務の誓約書を「公序良俗に反する」と断じており、M&A仲介業界で慣行となっている社員の競業避止義務についても影響が出そうだ。

#5
ビットコイン財務戦略による株価100倍の高騰劇から一転、下落の一途をたどるメタプラネット。その裏で巨額の利益を上げたのが英領ケイマン諸島の投資ファンド、エボファンドだ。2011年に日本に本格参入した同ファンドの軌跡をたどると、不振企業から超有利発行を引き出す「錬金術師」の巧妙な手口が浮かび上がる。その正体を明らかにする。

#4
暗号資産を有価証券と同等の投資対象に位置付ける議論が進行しているが、詐欺的な暗号資産による被害を防ぐ手立ては未整備だ。詐欺を防ぐ“番人”となるべき取引所が詐欺集団の手中に置かれるなどの状況があるからだ。自主規制団体は「けん制機能」を誇示するが、その数字にはまやかしがある。こうした状況にもかかわらず政府が暗号資産の見直しを進める背景には、大手取引所による政界へのロビー活動が垣間見える。

#1
東証スタンダード上場のメタプラネットは、「ビットコイン財務戦略」を掲げて株価が1年で100倍に高騰したが、その裏では巧妙な金融スキームが実行されていた。ビットコインへの熱狂をあおられた一般投資家を犠牲に、関係者が巨額の利益を得る「錬金術」の実態を初公開する。

#16
M&A仲介大手のM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が、独立開業した元社員らに約2.9億円の損害賠償を求める訴訟を起こしていたが、今年5月に敗訴していたことが分かった。判決では、MACPが社員に書かせていた退職後の競業避止義務の誓約書を「公序良俗に反する」と断じており、M&A仲介業界で慣行となっている社員の競業避止義務についても影響が出そうだ。

「令和の米騒動」でコメの適正価格が議論されているが、農協や米卸といった流通業者がスケープゴートにされている一方、価格決定に不可欠なコメの原価が曖昧なままとなっている。そこでダイヤモンド編集部では、コメ生産者への取材を基に米の原価を徹底検証し、持続可能なコメ生産に必要な“適正価格”を独自試算した。

#12
6月27日に開催が予定されるnmsホールディングスの株主総会を前に、新旧経営陣が委任状争奪戦を繰り広げている。発端は大株主で前社長の小野文明氏が7年間に使った635万円の経費私的流用疑惑にあるが、PwCリスクアドバイザリーが補助を務めた特別調査委員会の費用は2億3300万円に上る。実はこの費用の大部分が、流用疑惑の調査とは関係のない名目で請求されていることが取材で分かった。

#11
自動車や精密部品など製造業向けの人材派遣や請負サービスを展開するnmsホールディングス(東証スタンダード上場)前社長で大株主の小野文明氏が、河野寿子社長ら現経営陣に反対する株主提案を出した。小野氏は昨年12月、635万円の経費不正使用などがあったとして社長職を降ろされたが、「私の追放ありきの調査だ」と主張。会社と前社長が真っ向から対立する“内紛”の真相を暴露した。

企業の株主対応を支援するアイ・アールジャパン(IRジャパン)に再び捜査のメスが入った。顧客である上場企業の未公開情報を不正利用したインサイダー取引容疑である。インサイダー情報を漏らす行為は、前回、逮捕・起訴され有罪判決を受けた元副社長と全く同じだ。なぜ、IRジャパンで同じ過ちが繰り返されるのか。

上方修正の連発により、2019年の年初から21年初め頃までに株価が10倍に膨らんだIRジャパン。だがこの1年間は、業績未達と不祥事により、10分の1に転落。急成長と凋落の裏で何があったのか。関係者の証言により、「天国と地獄」の内幕ドキュメントを描く。

#6
インターネットを通じて少額から不動産投資に参加できる不動産クラウドファンディング市場が拡大している。2023年には業界団体の不動産クラウドファンディング協会が発足し、「利回りくん」などを運営する業界大手シーラテクノロジーズ創業者、杉本宏之会長が理事に就いた。働く世代を中心に多額の資金を集める一方、一部で償還遅延やポンジスキーム疑惑も取り沙汰される不動産クラウドファンディングの現状や課題について、杉本氏に聞いた。

#5
ソーシャルレンディング/不動産クラウドファンディングの比較検索サイト「ゴクラク」の鈴木拓郎編集長と、同サイト運営会社Virtual Wallの仲山智久取締役が、ダイヤモンド編集部の取材に応じた。鈴木編集長はソーシャルレンディング最大手のクラウドバンクに2000万円を投資していたが、4月、償還遅延が明らかになったという。現役世代の投資家が急速に広がるソーシャルレンディング業界で、なぜ不祥事が相次ぐのか。2人に聞いた。

#4
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクには、開示資料には一切名前が出ていない実質オーナーが存在する。この実質オーナーが別の上場会社に手を伸ばし、クラウドバンク株式を道具にした「錬金術」のような取引を行っていたことが分かった。謎に包まれた素性を、関係者への取材で明らかにする。

コメの価格高騰を巡る議論が紛糾する中、注目を集めるのが「コメ農家は時給10円」とする試算だ。しかし、この「時給10円説」には、重大な論理の飛躍があり、コメ農家の現状を見誤る恐れがある。また、農家の状況を検証すると、赤字農家が営農を継続する「意外な理由」が浮き彫りになってきた。コメ農家の利益構造や原価を、データを基に徹底解明した。

#3
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクの内紛は、元社長の金田創氏が実質オーナーと融資先との不適切な関係を調査しようとしたことに端を発した。その金田氏が取材に応じ、社内の公益通報窓口に不正を公益通報した直後に解任された経緯を明らかにした。証言が事実であれば、公益通報者保護法違反に当たる可能性もある。金田氏の独占インタビューを公開し、不正の実相や“黒幕”である実質オーナーの人物像について明らかにする。

#2
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクの実質オーナーの関係会社が、クラウドバンクの融資先からコンサルタント料などの名目で約5億5000万円を受け取っていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。融資の原資はクラウドファンディングにより集められた資金だ。実質オーナーが利益を得る一方で、融資先企業は昨年に債務不履行に陥り、多数の投資家に損失が出ている。

東京証券取引所プライム上場で、パーキンソン病患者専門の老人ホームを運営するサンウェルズ(苗代亮達社長)の全42施設中41施設で、診療報酬の不正請求が行われていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。サンウェルズは昨年9月に不正疑惑の指摘を受け、社内調査委員会を設置、決算発表を延期した。その期限が2月12日に迫る中、事態は不正を認知しながら株式の売り出しを敢行した経営陣のインサイダー取引疑惑に発展する兆しも見せている。
