村上 力
「令和の米騒動」でコメの適正価格が議論されているが、農協や米卸といった流通業者がスケープゴートにされている一方、価格決定に不可欠なコメの原価が曖昧なままとなっている。そこでダイヤモンド編集部では、コメ生産者への取材を基に米の原価を徹底検証し、持続可能なコメ生産に必要な“適正価格”を独自試算した。

#12
6月27日に開催が予定されるnmsホールディングスの株主総会を前に、新旧経営陣が委任状争奪戦を繰り広げている。発端は大株主で前社長の小野文明氏が7年間に使った635万円の経費私的流用疑惑にあるが、PwCリスクアドバイザリーが補助を務めた特別調査委員会の費用は2億3300万円に上る。実はこの費用の大部分が、流用疑惑の調査とは関係のない名目で請求されていることが取材で分かった。

#11
自動車や精密部品など製造業向けの人材派遣や請負サービスを展開するnmsホールディングス(東証スタンダード上場)前社長で大株主の小野文明氏が、河野寿子社長ら現経営陣に反対する株主提案を出した。小野氏は昨年12月、635万円の経費不正使用などがあったとして社長職を降ろされたが、「私の追放ありきの調査だ」と主張。会社と前社長が真っ向から対立する“内紛”の真相を暴露した。

企業の株主対応を支援するアイ・アールジャパン(IRジャパン)に再び捜査のメスが入った。顧客である上場企業の未公開情報を不正利用したインサイダー取引容疑である。インサイダー情報を漏らす行為は、前回、逮捕・起訴され有罪判決を受けた元副社長と全く同じだ。なぜ、IRジャパンで同じ過ちが繰り返されるのか。

上方修正の連発により、2019年の年初から21年初め頃までに株価が10倍に膨らんだIRジャパン。だがこの1年間は、業績未達と不祥事により、10分の1に転落。急成長と凋落の裏で何があったのか。関係者の証言により、「天国と地獄」の内幕ドキュメントを描く。

#6
インターネットを通じて少額から不動産投資に参加できる不動産クラウドファンディング市場が拡大している。2023年には業界団体の不動産クラウドファンディング協会が発足し、「利回りくん」などを運営する業界大手シーラテクノロジーズ創業者、杉本宏之会長が理事に就いた。働く世代を中心に多額の資金を集める一方、一部で償還遅延やポンジスキーム疑惑も取り沙汰される不動産クラウドファンディングの現状や課題について、杉本氏に聞いた。

#5
ソーシャルレンディング/不動産クラウドファンディングの比較検索サイト「ゴクラク」の鈴木拓郎編集長と、同サイト運営会社Virtual Wallの仲山智久取締役が、ダイヤモンド編集部の取材に応じた。鈴木編集長はソーシャルレンディング最大手のクラウドバンクに2000万円を投資していたが、4月、償還遅延が明らかになったという。現役世代の投資家が急速に広がるソーシャルレンディング業界で、なぜ不祥事が相次ぐのか。2人に聞いた。

#4
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクには、開示資料には一切名前が出ていない実質オーナーが存在する。この実質オーナーが別の上場会社に手を伸ばし、クラウドバンク株式を道具にした「錬金術」のような取引を行っていたことが分かった。謎に包まれた素性を、関係者への取材で明らかにする。

コメの価格高騰を巡る議論が紛糾する中、注目を集めるのが「コメ農家は時給10円」とする試算だ。しかし、この「時給10円説」には、重大な論理の飛躍があり、コメ農家の現状を見誤る恐れがある。また、農家の状況を検証すると、赤字農家が営農を継続する「意外な理由」が浮き彫りになってきた。コメ農家の利益構造や原価を、データを基に徹底解明した。

#3
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクの内紛は、元社長の金田創氏が実質オーナーと融資先との不適切な関係を調査しようとしたことに端を発した。その金田氏が取材に応じ、社内の公益通報窓口に不正を公益通報した直後に解任された経緯を明らかにした。証言が事実であれば、公益通報者保護法違反に当たる可能性もある。金田氏の独占インタビューを公開し、不正の実相や“黒幕”である実質オーナーの人物像について明らかにする。

#2
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクの実質オーナーの関係会社が、クラウドバンクの融資先からコンサルタント料などの名目で約5億5000万円を受け取っていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。融資の原資はクラウドファンディングにより集められた資金だ。実質オーナーが利益を得る一方で、融資先企業は昨年に債務不履行に陥り、多数の投資家に損失が出ている。

東京証券取引所プライム上場で、パーキンソン病患者専門の老人ホームを運営するサンウェルズ(苗代亮達社長)の全42施設中41施設で、診療報酬の不正請求が行われていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。サンウェルズは昨年9月に不正疑惑の指摘を受け、社内調査委員会を設置、決算発表を延期した。その期限が2月12日に迫る中、事態は不正を認知しながら株式の売り出しを敢行した経営陣のインサイダー取引疑惑に発展する兆しも見せている。

#1
インターネットを通じた投資サービス「ソーシャルレンディング」最大手で累計3000億円を集めたクラウドバンクで、内紛が発生しているもようだ。約10年間、社長を務めた金田創氏が今年1月末に突如解任されたのだ。背景には、金田氏と、クラウドバンク実質株主の対立が浮かび上がる。3000億円のうち、約370億円は現在も運用中とみられ、投資家も無関係ではいられない。

番外編
東京証券取引所プライム上場で、パーキンソン病患者専門の老人ホームを運営するサンウェルズ(苗代亮達社長)の全42施設中41施設で、診療報酬の不正請求が行われていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。サンウェルズは昨年9月に不正疑惑の指摘を受け、社内調査委員会を設置、決算発表を延期した。その期限が2月12日に迫る中、事態は不正を認知しながら株式の売り出しを敢行した経営陣のインサイダー取引疑惑に発展する兆しも見せている。

#11
資本効率の改善を求める東京証券取引所の市場改革により、株主還元を強化する上場企業が増えている。東証プライム上場の山崎製パンもその一社だ。配当金増額や自社株買いなどを近年強化しているが、その原資は、原価上昇を理由にした度重なる値上げである。上場企業の理想を実現するために、消費者の財布を痛める「便乗値上げ」に走ったといわざるを得ない。

企業不正に詳しい警察大学校の樋口晴彦博士が、2022年9月に公表されたIRジャパンの不正調査報告書について、「企業に阿(おもね)るような報告書」であると批判する論文を公表した。問題の報告書は第10代金融庁長官の遠藤俊英氏が委員となって作成したもので、経営陣に不正の疑義はないと結論。一方、ダイヤモンド編集部は報告書を「調査不足と詭弁(きべん)に満ちた報告書」と批判していた。論文では、こうした問題のある不正調査報告書が出ないための提言も行っている。

社長に外国人を据え、続々と海外の資産運用会社と提携するなど、海外に活路を求めている日興アセットマネジメントだが、実際のところ、外国絡みの商品開発や企業買収は失敗している。看板商品であるアーク関連のファンドのパフォーマンスは低く、外国企業買収は失敗。海外拠点は赤字体質である。グローバル化失敗の根源には、三井住友トラスト・ホールディングスが推し進めた「上場計画頓挫」があった。

三井住友トラスト・ホールディングス子会社、日興アセットが設定した米国株投信の運用パフォーマンスが悪化する一方、日興アセットは運用の再委託先である米運用会社から多額の配当金を得ていたことが明らかになった。さらに問題の投信について検証すると、投資家の資金が日興アセットの営業活動に利用されている疑惑も浮上した。その結果、投資家には税金コストが割高になるというデメリットが生じている。

三井住友トラスト・ホールディングスの子会社、日興アセットマネジメントが設定する外国株投資信託に利益相反の疑いがある。問題の投信は「破壊的イノベーション」関連銘柄を投資対象とし、ピーク時の運用残高は約3兆円に膨らんだが、近年、運用パフォーマンスが急速に悪化している。一方、日興アセットは運用の外部委託先である米国の運用会社に出資し、多額の配当金を得ていた。また一部の投信では、外国投信を介在させることで顧客資金を日興アセットの営業活動に利用している疑いもある。

#3
日本海でロシアのバルチック艦隊をせん滅し、日露戦争を勝利に導いた東郷平八郎を「軍神」として祭る東郷神社。その境内は、国内外の巨額マネーに翻弄された歴史が刻まれている。
