元フィデリティ投信の投資調査部長を務めた著者であるポール・サイさんが「S&P500」の3倍超という驚異的なリターンを生んだ米国株の投資術を初公開! ポール・サイさんが株価低迷期にエヌビディアを買い、成長を見抜けたのは、企業に潜む“成長のストーリー”を見抜いたから。初の著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』では、そんな、成長ストーリーの読み解き方から、銘柄選びの極意、買いのタイミング、暴落時の対処法、リスク管理までを体系的に解説。さらに、厳選した“10倍株”候補の8銘柄も特別公開!新NISAで投資を始めた人、日本株から米国株へとステップアップしたい人に最適な、“米国株で勝つための決定版”だ。今回は、その『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』から、世界が危機的な状況である時こそ、米国株に投資する理由について抜粋し解説する。

アメリカの問題で世界が危なくなる時、一番安全なのは実はアメリカ!?(Photo: Nadya/Adobe Stock)

米国不安で売るな!
米国に資金が戻る理由

 近年のアメリカ社会では、分断が一層深刻化しています。2016年にトランプ氏が大統領選に当選したことは、その分断が初めて表面化した大きな出来事だったといえるでしょう。

 その後、共和党の第1次トランプ政権、民主党のバイデン政権、そして再び共和党の第2次トランプ政権へと、政権は移り変わってきましたが、その間も社会を揺るがす事件が相次ぎました。

 2020年5月からはジョージ・フロイド事件をきっかけにブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動が激化し、2021年1月にはアメリカ連邦議会議事堂襲撃事件が発生しました。

 さらに、2024年7月にはトランプ大統領候補暗殺未遂事件があり、2025年6月にはロサンゼルスで移民を巡る抗議デモが激しく行われました。こうした出来事は氷山の一角にすぎず、アメリカ社会の分断を象徴する出来事は数多く起きています。

 このようにアメリカの政治や社会の混乱が目立つ時期には、米国株への投資に躊躇してしまう人がいるかもしれません。「こんな不安定な国に投資してよいのか」と感じ、米国株への投資に二の足を踏む人が出てくるのも自然なことでしょう。

 しかし、アメリカには他の国々とは決定的に異なる点があります。簡単に言えば、アメリカの混乱はアメリカだけの問題にとどまらず、世界経済全体に大きな影響を与えるという点です。そのため、混乱が起きて一時的にリスク回避の動きが強まったとしても、最終的には「世界で最も安全な市場」として、結局資金はアメリカに流入するのです。私はそう考えています。

アメリカが内向きになると
世界が混乱する!

 では、なぜそのような現象が起きるのでしょうか? アメリカ社会が混乱し、不安定になると、アメリカは国外のことに十分に関与できなくなります。その結果、欧州・中東・アジアなど世界の各地域で問題が起こりやすくなるのです。

 たとえば、本書執筆時点では欧州ではロシアとウクライナの対立が続き、中東ではイスラエルとパレスチナの問題が長期化しています。アジアではまだ顕在化していませんが、中国と台湾の武力衝突が潜在的リスクとして存在します。

 こうした状況を理解するうえで、“アメリカ帝国”という概念をあえて使うとわかりやすいでしょう。もちろん、実際に“アメリカ帝国”という国家が存在するわけではありません。ここでいう“アメリカ帝国”とは、アメリカを中心に広がる影響圏、つまりアメリカの経済力・軍事力・外交力の影響が及んでいる広大な地域を含む概念です。

 アメリカは植民地を持っているわけではありませんが、その強大な影響力は、世界各国に及んでいます。そうした意味で、全体としては“アメリカ帝国”と呼ぶにふさわしい存在だと私は考えます。

 そして、アメリカが混乱すると、“アメリカ帝国”の周辺部ほど問題が出てくるのです。その具体的な例が「ロシアとウクライナ」「イスラエルとパレスチナ」問題と言えるでしょう。

 だからこそ、アメリカに問題が生じた時には、多くの人の直感とは逆に、最も安全なのはアメリカそのものなのです。危険が高まるのは“アメリカ帝国”の周辺部の方だからです。

 もちろん、もしもアメリカ合衆国本体が崩壊するというようなことが起きれば、話は別です。しかし、そのような兆候は現在のところ見られず、今後もそうなる可能性は極めて低いでしょう。

有事こそ米国買い!
“攻められない国”に資金が集まる

 投資家の視点から言えば、アメリカに問題が起きた時こそ、むしろアメリカに投資しておくべきなのです。アメリカという国は、歴史的・地理的・軍事的観点から見て「絶対に攻められない国」といえます。

 その背景にはまず、地理的条件があります。アメリカ以外の主要国の多くは広大なユーラシア大陸やその周辺の島々に位置していますが、アメリカは太平洋と大西洋を隔てたアメリカ大陸にあり、他の大国から隔絶した存在です。この隔絶こそが、アメリカが外敵に攻め込まれにくい大きな要因となっています。

 さらに投資家の視点で重要なのは、アメリカでは法制度が整備され、資産がしっかりと保護されているという点です。物理的な安全性に加えて制度的な安心感もあるからこそ、アメリカは投資先として世界中から資金を集め続けているのです。

 そして、アメリカが世界最強の軍事力を持っていることについて、異論を挟む人はほとんどいないでしょう。実際、世界各国の軍事費を比較すれば、アメリカの軍事費が他国を大きく引き離していることが一目でわかります。

 次の図を見てもわかるように、軍事費トップのアメリカは、2位の中国の3倍以上、3位のロシアの6.7倍に達しています。こうした圧倒的な軍事力の差もまた、アメリカ本土が事実上「攻められない国」である理由の1つです。

アメリカの問題で世界が危なくなる時、一番安全なのは実はアメリカ!?

歴史的に“攻め込まれない国”アメリカ
戦争でも守られた資産!

 このような地理的、軍事的条件を背景にアメリカ本土が外国から直接攻め込まれたことはありません(ただし、アメリカ建国初期で領土がまだ現在の形に確定していなかった時代は例外です)。

 つまり、歴史的、経験的に見ても、アメリカ本土は安全であると言えるのです。アメリカ本土が安全であったことを示す最も顕著な例が、第一次世界大戦と第二次世界大戦です。第一次世界大戦では、主に欧州が戦場となり、アジアや中東にも戦火が広がりました。第二次世界大戦では、欧州に加えて北アフリカやアジアが地上戦の舞台となり、海上では太平洋やインド洋が主な戦場となりました。

 いずれも「世界大戦」と呼ばれるように、世界の広範な地域が戦場となりましたが、アメリカ本土は、一度も戦場にならなかったのです。

 第二次世界大戦前にアメリカに家や資産を持っていた人々は戦後もその資産を維持できました。アメリカ本土が戦火から守られていたことに加え、法制度によって資産が保護されていたからです。

※本稿は『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。