『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第117回は、「大学入学共通テスト」について考える。
「リスニング四天王」も過去のものに…
東京大学現役合格を目指す天野晃一郎は、大学入試センター試験(現:大学入学共通テスト)に挑む。天野は事前の予想をはるかに上回る810点という点数を叩き出し、まさに宙に舞ううれしさを見せるのだった。
今年も共通テストが始まった。2021年度よりこれまでのセンター試験に替わる形で実施されることになった共通テスト。毎年のように新しいカリキュラムや注意事項が追加されているような気もするが、2026年度は受験上の手続きが少々変更されることとなった。
まずは、受験票に関してだ。これまでは学校を通じて郵送される仕組みだったが、今年度からは個人でダウンロードして印刷する形式に変わった。スマホやタブレットの画面を見せるだけではダメだという注意もある。学校の負担を軽減することが狙いだという。
次に、生徒証やマイナンバーカードなどの顔写真付き身分証明書を持参することが求められるようになった。センター試験時代には替え玉受験が発覚した事件が複数あったため、共通テストでも個人確認を厳格化したい考えだろう。
やや驚いたのが、試験問題のSNS投稿が禁止されたことだ。著作権保護や、電車の遅延などで別室受験している生徒への配慮を目的としている。
無機質な出題を特徴とするセンター試験や共通テストだが、個性的なイラストが登場することが少なくない。2019年の英語リスニングで、筋肉モリモリの野菜が登場した、いわゆる「リスニング四天王」がその例だ。2018年度の地理の試験では、ムーミンの舞台についてネット上で議論が起こったこともあった。
このような盛り上がりや議論がSNSで下火になるのは少し寂しい気もする。だが、受験生にとっては二次試験を控える中で、終わったテストのことにいつまでも気を取られるわけにはいかない。その意味では、インターネットで擦られ続けるよりは、規制した方がいいという意見にも納得だ。
「点数自慢」「失敗アピール」に注意
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
もちろん、試験問題は翌日の新聞、大学入試センターや塾の公式サイトなどから閲覧し、受験生と同じように解くことができる。ちなみに私は、得意科目の歴史(歴史総合、日本史探求、世界史探求)だけ入試問題を解くことにしている。去年はなぜか現役の時よりも点数が高かった。
共通テストは確かに自分の立ち位置をある程度反映するものだが、細かい1点や2点の増減がそのまま自分の絶対的な実力を示しているわけではない。自分のように、1年間全く勉強しなくても上回れるような点数をとってしまうこともある。そのくらいの上振れ・下振れは覚悟した上で、二次試験に向けた戦略をとることが求められる。
試験後自己採点をしたら、翌日学校に集まるという生徒も多いだろう。塾や学校で一斉に自己採点をさせるところもある。問題なのが、自分の点数をどこまで友達に教えるのか、ということだ。特に最難関校を目指す人たちにとっては、共テレベルでは実力差があまりつかないため、わずかな失点が命取りになることもありセンシティブな話題だ。
個人的には、言ったり聞いたりすることは問題ないと思う。もちろん無理やり点数を聞き出したり、無闇(むやみ)に自分の点数を自慢するのはよくない。ただ、言ったところで点数は変わらない。何より、全体の傾向はすぐに大手塾から分析結果が公表される。情報は多い方がいいだろう。
1つ注意してほしいのが、「本番で下振れた悲劇のヒーロー」についてだ。「俺マジで失敗だったわぁ」と言う人がいる。高い点数をとった人よりも、低い点数をとった人の方が(なぜか)自分の結果を強調したがるのだ。そのため、自然と周りの範囲での情報は、低い点数の人が多くなる。自分は高い点数かも…と思っても、しっかり大手塾の分析を確認するようにしよう。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







