鳩山内閣の閣僚人事を見て最大のヒットだと思ったのは長妻昭氏の厚生労働大臣だ。下馬評の「年金問題担当相」というようなあいまいなポストではなく、厚生労働省の人事権を持つ大臣に就任したことは年金制度の改革にとって非常にいいことだ。

 さて、マネー経済の世界の住人にとっては、将来の年金資金運用の動向が重大な関心事だ。

 主なものだけでも、(1)公的年金の積立金は増えるのか・減るのか、(2)公的年金はリスク資産での運用を拡大するか・縮小するか、(3)公的年金は株式投資を将来も続けるのか、(4)年金制度一元化は積立金運用にどのように影響するか、(5)旧制度から新制度への移行は運用内容にどう影響するか、(6)確定給付の企業年金はどう変化しその運用はどうなるか、(7)確定拠出年金は拡大するか、といった重要なテーマがある。

 民主党マニフェストの工程表では、政権当初の2年間は「消えた年金問題」に集中対応して、3年目に年金制度を議論し、4年目に新制度の法案を通す、といったスケジュールが示されている。率直に言って、政権当初から新制度に関する議論を始めて、新制度の発足を急ぐべきだと思うが、仮に、このスケジュールで物事が進む場合でも、年金制度の一元化への対応を意識して共済年金や企業年金の運用内容が1~2年目から変化する可能性がある。

 いずれにせよ、現段階で将来の年金運用は「想像」するしかない。