世界でシリーズ累計259万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんと、子別指導塾「坪田塾」経営者で、映画化もされた『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(ビリギャル)の著者である坪田信貴さん。ビリギャルシリーズの最新作である『勝手な夢を押しつける親を憎む優等生と、東大は無理とバカにされた学年ビリが、現役合格した話』の発売を機に、約7年ぶりに対談が実現しました。
第3回目は、教育界でも確実に影響力を発揮している「AI」について、さまざまな意見交換が成されました。(構成 伊藤理子/撮影 石郷友仁)

佐々木圭一×坪田信貴

佐々木圭一(以下、佐々木):『勝手な夢を押しつける親を憎む優等生と、東大は無理とバカにされた学年ビリが、現役合格した話』で紹介されている「AIを使って偏差値を上げる方法」を知れば、勉強方法が劇的に変わると思います。冗談抜きで、日本全体の偏差値が5ぐらい上がる効果がある。読まなきゃ損! だと思います。

坪田信貴(以下、坪田):ありがとうございます!

佐々木:この対談を見ている人は、受験生の親御さんも多いと思います。AIを使った勉強法について、何かアドバイスをいただけますか?

坪田:いくつかのステップやポイントがあるのですが…まず重要なのはプロンプトですね。プロンプトを入れる時には、「目的」と「途中経過」は絶対に入れたほうがいいです。
例えばですが、「1学期の中間テストで、国語で80点以上取りたい。出題範囲はここからここまでなので、8割取るにはどうすればいいかステップ・バイ・ステップで考えて」など。

AIは「質問内容に対する答え」を出すので、質問の精度や質問の仕方によってアウトプットのレベルが大きく変わります。腕のあるインタビュアーは質問を工夫して、取材対象者からいいコメントを引き出しますが、それと同じイメージです。目的と途中経過を示すだけでも、回答の精度がぐんと上がるので、ぜひ試してみてほしいですね。

佐々木:なるほど! 娘がテスト前に、AIで源義経について調べていたのですが、回答内容が難しすぎてよくわからないと言っていました。確かに、「義経は何をやった人なのか教えて」だけだと、中学生の役に立つ回答は出てこないですよね…。「私は中学1年生で今度中間テストがある。源義経について教えてください」とするだけでも違ったのかな。

坪田:ぜんぜん違いますよ! それを入れないと、ウィキペディアみたいな回答になっちゃうから。
あと、「嘘はつかずに調べてね」と言うのも効果的ですよ。AIは膨大な情報量から回答を抽出するので、精度は上がっているものの、まだまだサイコロを振っているだけの部分もあります。「嘘をつかないで」と言うと、嘘っぽい情報は排除されるのでお勧めです。

佐々木:ありがとうございます。本当に坪田さんと話していると学びが多いなあ。
以前、坪田さんとお寿司を食べながら「子どものやる気スイッチを入れるにはどうすればいいか」という話をしていたときに、「勉強に必要なものを揃えておいて、やる気になったときにすぐできる状態にしておく」と教えてもらったじゃないですか。

坪田:しましたね、そんな話。

佐々木:失礼ながら、そんなちょっとしたことで変わるものなのかなあ…と思っていたのですが、やってみたら効果があったんですよ! いま佐々木家では、毎朝机の上にシャーペンとかノートなどを揃えておくのが習慣になっています。僕が帰宅すると、娘がきちんと勉強しているんです。

坪田:おお、よかったです。そして、インプットした情報をすぐに実践して、検証する佐々木さんが何よりすごい!

佐々木:親としては心配なんですよね。今勉強しておかないと後々大変だということを知っているから。でも、「今やっとかないとまずいよ!」と言われたところで、なかなかスイッチが入らないのもわかる。少しでも「やろうかな」と思ったときにすぐに着手できる状態があるのは大切なのだと、実感しました。

坪田:これってまさしくアフォーダンス(周囲の環境が、人や動物などに特定の行動を与える機能や可能性)の概念で、行動導線が大きな影響を与えるんですよね。

さきほど、佐々木さんが僕のために美味しいお茶を淹れてくれました。目の前に湯呑を置いてくれたから、僕はのどが乾いたらすぐに飲むことができます。でも、お茶がなかったら、いくらのどが渇いても自分から「お茶ください」と言い出すのはハードルが高いものです。

「のどが渇いた」と思っても、欲求に向かって行動するためには「佐々木さんにお願いしなければいけない」「対談中にお願いするにはタイミングを測らなければならない」「でも、そもそもそんなこと言い出すのはどうなんだろうか」など、いくつもハードルを乗り越えなければならないから、「もういいや、面倒くさい」となってあきらめてしまう。

勉強も同じで、自宅だと勉強以外の選択肢が山ほどあるから、ハードルを越えるのがめちゃめちゃ大変なんですよね。お風呂に入る、ご飯を食べる、ソファでテレビを見る、スマホでYouTubeを見る、ごろ寝するなどの楽しい選択肢がたくさんある中で、自分の意志で「勉強する」を選べる人がいたら…逆に変かも(笑)。でも、勉強できる準備が整っていれば、「やろうかな」と思いやすくなります。
そういう意味では、勉強するために塾に行くのは理にかなっているんです。勉強するための環境がありますから。

佐々木:塾には「仲間」もいますものね。今回の本では、仲間の存在も強調されていますが、「塾に行けばあの子が頑張っているから」というのもモチベーションにつながりますね。

坪田:実は、近い未来にAIで実現してみたいことがあって。

佐々木:どんなことですか?

坪田:学校から帰ってきて、自分の部屋に入った瞬間に、AIが話しかけてくれるような機能が作れないかと思っているんです。「佐々木君、お帰り。学校はどうだった?」「いやー今日も疲れたわ」みたいな会話をAIと繰り返す中で、「そろそろ宿題とか、やる?」「中間テストまであと1週間だから、少し勉強する?」などと声をかけてくれるような機能。子どもの性格に合った導線を、AIが会話を通じて自然に作ってくれる。これがやってみたいんですよね。
勉強に限らず、会話の中でちょっといつもと違う雰囲気を感じ取ったら「今日何かあった?」と声をかけてくれたり、親に対してアラートを上げてくれたりする。

佐々木:すごいアイディアですね! 親としてもありがたい機能です。
改めて思うのですが、坪田さんの守備範囲の広さはすごい。今教えてもらったような未来的な発想力と、坪田塾で発揮する能力、そして本を執筆する力って、それぞれタイプが異なる能力だと思うんです。

坪田:今回の本に関しては、「編集者の力」が大きいですよ。AIを使った勉強方法は、実はもっと詳細に、たくさん書いていたのですが、3分の1ぐらいにばっさりカットされました。確かに細かすぎて、読者も読み進めるのが大変だろうなと思っていたので結果的によかったのですが。
でも、もう少しだけAIについて踏み込みたくて、「AIでの勉強方法の部分を切り出して、巻末におまけとして入れてはどうか」と提案したのですが、その意見もばっさりカットでした(笑)。でも、もしAIについての反響が大きかったら、それだけをまとめた本を出してもいいかなと思っています。

佐々木:おお、その時は絶対に買わなければ!

【偏差値+5】AIに“たった一言”加えるだけで、子どもの学力が劇的に伸びるワケ【佐々木圭一×坪田信貴】佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト:www.ugokasu.co.jp
Twitter:@keiichisasaki
【偏差値+5】AIに“たった一言”加えるだけで、子どもの学力が劇的に伸びるワケ【佐々木圭一×坪田信貴】坪田信貴(つぼた・のぶたか)
坪田塾塾長
累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタントもつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。趣味は妻と子どもと遊ぶこと。東京都在住。