この記事を読んでいる人には、20代のビジネスパーソンもいらっしゃることと思います。この春に社会人になった人、異動や転職で新たな環境で働き始めた人も多いのではないでしょうか?
仕事でコミュニケーションを取る相手のほとんどは年上であり、上司に至っては親世代の年齢というケースも多いでしょう。中には「相手はかなり年上だし、自分はまだ新人(若手)だから何を言っても許されるだろう」と、自分の思いや考えをストレートに伝えてしまう人もいるようですが、「この部下、使えないな」と上司の怒りを買ってしまう恐れがあります。そこで、日本、中国とも100万部超、世界でシリーズ累計259万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、新人や若手にお勧めしたい上司への「伝え方」を教えてもらいました。(構成/伊藤理子)

ランチならまだしも、夜なんですか?
この春に入社した新人の研修期間が終わり、そろそろ各部署に配属される頃でしょう。このタイミングで歓迎会を計画している部署やチームも多いのではないでしょうか。
ただ、終業後に会社の人たちと一緒に飲み屋でドンチャンやることに、抵抗感を持つ若手は少なくありません。あまりお酒を飲まない人、お酒の席が苦手な人は特に、できれば参加したくないと思っていることでしょう。
なのに、歓迎会の幹事を任されるのは大体2年目、3年目の若手です。上司から「〇月〇日の夜、どこかお店を予約しておいて!」と命じられてしまい、なんで行きたくもないのに幹事をしなきゃいけないんだ…と不満を覚える人も多いと思います。
働き方の多様化などを受けて、最近では皆が参加しやすいランチタイムに歓送迎会を行うケースが増えています。それを引き合いに出して、「ランチならまだしも、夜に歓迎会を行うんですか?」などと言いたくもなりますが、あまりにズバリと言ってしまうと、上司を怒らせてしまうかもしれません。
歓迎会は、新しい仲間を歓迎し職場に馴染んでもらうための大切なイベントだと捉えている上司世代は多く、「そんな言い方をするなんて…失礼だ!」と思われてしまう可能性があります。
上司の気持ちを損ねることなく、希望が通りやすくなる伝え方
では、何と言えばいいのでしょうか。この場合は、ぜひ次のように伝えてみてください。
◎「ランチ時間だと参加率が上がるので、歓迎会はお昼にしてもいいですか?」」
これは、伝え方の技術「相手の好きなこと」を使った伝え方です。「参加率が上がる」というのは、上司にとって嬉しいことです。歓迎会は夜が当たり前!と思い込んでいる上司であっても「参加率が上がるのであれば、お昼に歓迎会をするのもアリだな」と思ってもらいやすくなります。それだけではなく、「このような提案をしてくれるなんて…若手ながらチームメンバーのことを考え、皆が気持ちよく参加できるよう気を配ってくれているんだなあ」と好印象を与えられるでしょう。
この提案を機に、上司が「うちのチームには子育てや介護中の人もいるから、夜の歓迎会は負担をかけてしまうかも」と気づき、他のイベントも夜から昼へと移行するかもしれません。
伝えたいことは、どちらも同じ。しかし、伝え方を少し工夫するだけで、希望が通りやすくなるだけでなく、「チームのことを考えられるデキる部下」という評価につながる可能性があるのです。
「若手なのに、伝え方を気にしなきゃいけないなんて…」と思うかもしれませんが、この例のように、ほんの少し工夫するだけで希望が通りやすくなり、自身の評価も大きく変わる可能性があるのです。ぜひ伝え方の技術を覚えて、普段のコミュニケーションに取り入れてみてほしいですね。