新年度に入り、チーム一丸となって新たな事業目標に向かって頑張ろうというとき、モチベーションが低い部下がいると全体の雰囲気が悪くなるものです。なんとかやる気になってもらい、早くスタートダッシュを決めてほしいと思って叱咤激励しても、伝え方を間違えてしまうと、ますます部下のやる気を削いでしまうかもしれません。そこで、日本、中国とも100万部超、世界でシリーズ累計259万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、部下のやる気を上げる「伝え方」を教えてもらいました。(構成/伊藤理子)

「仕事ができない上司」が言っているNGワード・ワースト1Photo: Adobe Stock

目標を達成して!

営業職など、何らかの数値目標を背負っている仕事は多いと思います。メンバー一人ひとりが自身の目標に向かって努力し、互いに切磋琢磨し合うことで、さらなる相乗効果が期待されるでしょう。

そんな中、やる気が見られない部下がいると、上司としては気になるものです。昨年度は数値目標を達成できなかったのだから、「今年度は頑張ろう!」と奮起してほしいのに、なかなか努力が見られない。そんな場合はつい、「今期こそ、目標を達成して!」とビシッと言いたくもなるでしょう。

しかし、このように思ったままを伝えてしまうと、相手に必要以上にプレッシャーを与えてしまいかねません。部下によっては「上司から嫌われている」と感じ、強い緊張感から却ってパフォーマンスが上がりにくくなってしまうかもしれません。

部下のやる気を引き出す伝え方

では、どう伝えればいいのか。例えばこのような伝え方がオススメです。

◎「この半年で仕事の質が格段に上がったから、今年度なら目標達成ができそうだね。期待しているよ」

これは、伝え方の技術「認められたい欲」を使った伝え方です。人は、相手から認められると嬉しさを覚え、自ら相手の期待に応えようと思いやすくなります。「仕事の質が格段に上がった」と認められ、「期待しているよ」と期待を寄せられたことで、「今期こそ頑張って目標達成しよう!」と奮起しやすくなるでしょう。

上司から見れば、そこまで「仕事の質が上がった」とは思えないかもしれません。ただ、どんな部下であっても自分なりに悩み、努力をしています。その成果がなかなか現れないから、なかなかやる気が上がらないのかもしれません。そんな相手に頭ごなしに「目標達成して!」と言うのは、明らかに逆効果です。

部下のパフォーマンスが上がらないのは、指導する上司側の責任でもあります。「もう新人じゃないんだから、言われなくてももっと頑張れよ」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえ、以前より良くなった部分、改善できている部分に目を向け、それを認める伝え方をしてみましょう。部下のほうから自発的に動いてもらえるようになる確率がグンと上がります。

なお、「期待している」は短いワードですが、相手の「認められたい欲」をストレートに刺激する効果的な言葉です。こう言われると思わず期待に応えたくなるので、部下を持つ上司にとっては汎用性が高いはず。ぜひ覚えておいてほしいですね。