
そばランチで気分が悪くなるサワ
「では一緒に頑張りましょう、錦織校長」とヘブンは手を差し出し、ふたりは固い握手を交わした。
そこに、トキがお茶を持ってきて、気取った口調で英語を話す。お茶(tea)を「チー」と発音して錦織に出す。
錦織は流暢(りゅうちょう)な英語でトキに話しかける。
「最近落ち込んでいたようだが元気になったんだね。君が落ち込んでいると、ヘブンさんまで沈んでしまう。君はこの家の太陽なんだから輝いていてくれよ」
だが、こんないいことを言われても、トキは「今の私には『おトキさん』しかわからん」。
「『おトキさん』は英語でもないしな」と錦織は突っ込む。
こんなふうにふざけられるのも、サワのことが新聞に載ったおかげだろう。
一方、サワは白鳥倶楽部で勉強中。日曜日にも通ってきて頑張っている。
こちらは庄田のおかげ。
「いやいやおサワさんの力だよ」と言いつつ、「ならわしのおかげということでありがたく受け取っておきます」と庄田はやっと感謝を受け入れた。
いい感じになったところで、昼餉(ひるげ)にいくことに。土江(重岡漠)も門脇(吉田庸)もいかないのはたまたまか、気を利かせてか。
こうしてふたりは花田旅館でそばランチ。庄田を値踏みする、平太(生瀬勝久)とツル(池谷のぶえ)。ウメ(野内まる)は「がんばってごしなさい ふふふふ」と意味深に笑う。
だが庄田は、自分と錦織の話を長々と話し出す。
「あいつはわしらの同期で松江始まって以来の秀才と呼ばれたものすごい男なんだ。だが、家が貧しく中退を余儀なくされ、しかしあまりに優秀だったためそこから代用教員となった。一方、わしは錦織には遠く及ばなかったが、あいつと一緒に東京に出て同じ試験を受け、自分で言うのもなんだがまさかの合格を果たし、東京で英語教師になった。そして実は県知事閣下から松江中学の教師にならないかと打診があり、私も故郷に錦を飾りたかったので松江に戻ってきたんだ。だが結局のところ断ってしまった。わしが行くと、なんというか錦織がやりにくいだろうと思ってね。別に仲が悪いわけじゃないんだよ。むしろ仲は――」
長い、長いぞ。視聴者に、庄田の設定を説明するためだとしても、唐突にかなり長い。すると、サワの表情がみるみる曇っていく。
「ダメ 気分が悪くて」
やっぱり自分語りの長い男はいやだよねえ。これだから男に頼らずひとりで生きると改めて思ってしまうのでは? と思ったら――。







