そのため、これまでのように移住者が空き家を改修するのではなく、グリーンバレーが事前に改修して貸し出す手法を取るようになった。

 こうした取り組みにより、住民が希望するような移住者が神山町に集まるようになった。移住交流支援センターを経由しての移住者は、2010年度と11年度の2年間で23世帯46名を記録した。このうち、子どもは12人にのぼる。

 大南さんらは、「ワーク・イン・レジデンス」により神山町の商店街の再生を図りたいとしている。現在、空き店舗や古民家の改修工事を進めており、レストランや放送番組のデータ制作会社のサテライトオフィスなどの入居がすでに決まっている。

 大南さんは、「住民サイドが時間をかけながら様々な活動を続け、変化を顕在化させました。自分たち自身が変化の主体になれるのです」と語る。

やみくもではなく明確な未来像を
創造的過疎による地域再生を目指す

 大南さんらが掲げているのが、「創造的過疎による地域再生」である。これは過疎化を受け入れ、将来の人口構成の健全化に力を入れるという考え方だ。毎年、何人のUターン、Iターンがあれば、地域が存続していけるかはっきりした数値を算出し、その未来像に向かって活動を続けるという戦略である。

 住民が動き出すことで変化は起こせる。しかし、やみくもに動いても成果はなかなか得られない。将来ビジョンから逆算して動き続けることがポイントだという。

 神山町の民間主導による地域再生の動きは、これまでの常識を大きく覆すものだ。そして、それ故に着実に成果をあげつつあるのと言える。

 自発的に動き出し、変化を起こしつつ加速する住民。彼らに大きく引き離されてしまった神山町の職員などから、「役場がもっと頑張らないといけない」との声があがり始めたという。なんとも珍しいケースである。