我が国の住宅はすでに大幅に余剰。このまま行けば30年後には空き家率が43パーセントになるとの予測もある。人口・世帯数が大幅に減少する「住宅大幅余剰時代」を迎えることが確実な我が国で、どういった基準でマイホームを選べばいいのか。

30年後は「となりは空き家」があたりまえに

 日本の住宅市場はすでに「飽和状態」をはるかに通り越して「大幅に余剰」。5年ごとに行われる総務省の調査によれば、平成20年10月1日時点での総住宅数5759万戸に対して、総世帯数は4999万世帯と、約760万戸の空き家を抱える。日本全体を賃貸住宅経営に例えると、空き家率は13.1%だ。現時点ではすでに空き家数は800万戸を超えているだろう。

 さらに今後どうなるかを予測したレポートがある。「人口減少時代の住宅・土地利用・社会資本管理の問題とその解決に向けて(下):(野村総合研究所)」によれば、もし2003年のペースで新築(約120万戸)を造り続けた場合、30年後の2040年には空き家率が43%に達するとしている。いわば「お隣は空き家状態」である。これではまったくお話にならないから、仮に新築を造るペースを半分(約60万戸)にした場合でも30年後には空き家率が36%なってしまうとのことだ。 

出典:野村総合研究所「人口減少時代の住宅・土地利用・社会資本管理の問題とその解決に向けて(下)」

 これでは全く持続不可能。今後長期にわたって起こる人口や世帯数の減少、給与所得の低下などを踏まえれば、新設住宅着工戸数はあと5年~10年のうちに、50~60万台にまで低下するものと私は見ている。かんたんにいえば、我が国は新築住宅を造りすぎなのだ。

 都市の空き家率が30%を超えると、防犯をはじめとする居住環境の著しい低下が起きることが研究者の間で知られている。また上下水道などのインフラ整備やゴミ収集などの行政サービスの効率も悪化して自治体の財政事情を逼迫させる。