日本公認会計士協会Photo by Yasuo Katatae

日本公認会計士協会は、上場企業の監査を担う監査法人に対して、規制を強化する方針を打ち出した。監査法人に出資している社員に当たる会計士の人数を、現在の最低5人から引き上げる方向で、2027年7月までに規制導入を進めたい考えだ。中小監査法人は体制強化のために他の監査法人との合併を求められることになり、在籍する公認会計士の間では、来る大再編時代に向けて緊張感が高まっている。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

監査法人で人数要件強化
影響は監査法人全体に

 日本公認会計士協会が、監査法人への規制を強化することを決めたきっかけは、上場企業で相次ぐ不正会計だ。中でも、東京証券取引所グロース市場に上場していたAI(人工知能)開発企業のオルツで発覚した不正会計は、監査法人業界に大きな衝撃を与えた。

 オルツは循環取引によって売上高を過大計上していたが、監査を担当していた中小監査法人の監査法人シドーは、見抜くことができなかった。監査法人は「市場の番人」といわれ、上場会社が公表する財務諸表を監査し、資本市場の健全性を保つ“番人”だ。

 協会が行った調査によると、「相当の注意を怠り、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして意見又は結論を表明」していたという。シドーは番人としての役割を、まるで果たせていなかったことが認定されたわけだ。シドーに対しては今後、協会の綱紀審査会で会則に基づく処分を行うかどうか、審査が行われる。

 事態を重く見た協会は、「登録上場会社等監査人による監査の信頼性向上に向けた取組」を公表した。“市場の番人”としてレベルを上げるために取り組むメニューを示した格好だ。

 この中で、中小監査法人に所属する公認会計士たちの注目をひときわ集める項目があった。それが「自主規制として、人的体制に関する要件の引き上げを検討します」という文言だった。

 上場会社を監査する監査法人は、審査を経て上場会社等監査人名簿へ登録される必要がある。その際、監査法人には公認会計士が5人以上在籍している要件があるが、この人数を2027年7月をめどに引き上げる。具体的な人数要件は今後議論されるという。

 これによって、中小監査法人の合併あるいは統合は必至となった。規制強化について、監査法人業界の中でどのように捉えられているのか。次ページで現場の公認会計士の声を紹介しながら、業界へどのようなインパクトがあるかを探った。