公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング#3Photo:Paper Boat Creative/gettyimages

公認会計士と監査法人業界の年収水準はこの10年、ほとんど変わっていない。大企業ではこの3年ベースアップが行われており、20~30代の公認会計士の年収水準は、大手金融や製造業とほとんど変わらなくなっている。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#3では、公認会計士の年収・出世・キャリアの最新事情を探った。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

上がらない公認会計士の年収
企業の賃上げ続出で魅力は低下

 弁護士に次ぐ難関資格といわれる公認会計士。かつては、それに見合った年収水準だったが、今はそう感じられなくなっている。

 公認会計士の就職先として最も人気なのは監査法人トーマツ、あずさ監査法人、EY新日本監査法人、PwC Japan監査法人の四大監査法人だ。その四大の初任給はこの10年、30万円台前半からほとんど上がっていなかったのだ。

 一方で産業界へ目を向けると、メガバンクや大手証券、総合商社などではこの3年、業績回復やインフレを背景に大幅なベースアップを断行。大手金融機関や総合商社で、2025年4月入社の学部卒の初任給が30万円台を超えることも珍しくなくなった。あずさとEY新日本は今年度の初任給を35万円まで引き上げることを決めたが、差は縮まっている。

 2年目以降の監査法人の年収推移を見ても、差はあまりない。四大で10年目(30代半ば)のマネジャーでも、年収は最大で1200万~1500万円程度。総合商社で30代半ばで管理職ともなれば、年収は1500万円を優に超える。

 四大には依然として優秀な公認会計士が集まっており、グローバルネットワークに属しているため世界標準の会計やファイナンスの情報に触れられ、ブランドもある。だが年収面では、魅力が低下していると言わざるを得ないだろう。

 では公認会計士にとって、働きがいやワークライフバランス、年収などに満足できるキャリアとはどのようなものなのか。次ページでは、「四大と準大手監査法人のキャリアと年収イメージ」の図を用いながら、公認会計士の年収や出世の法則を解説していく。