春は「干さない」のではなく
「室内で風を通す」が正解

「花粉が怖いから、外には干さない」

この判断自体は、決して間違っていません。問題なのは、「干さない代わりに、何もしないこと」です。春の寝具ケアに必要なのは、太陽の光(天日干し)ではありません。

「風を通して、湿気を逃がすこと」です。外に出さなくても、室内で湿気を逃がす方法はたくさんあります。

敷き寝具を立てかける:起きたら布団やマットレスを壁に立てかけ、裏側に空気を通してください。
除湿機やエアコンを活用する:寝室の湿度を下げるだけでも、布団の湿気は放出されます。
椅子などを活用して陰干しする:掛け布団は椅子にかけるなどして、空気に触れる面積を広げましょう。

こうした地味な作業をするだけで、布団は驚くほど軽くなり、保温性も回復します。本当の花粉対策とは、花粉を家に入れないことだけではありません。「布団の中に湿気をため込まないこと」も、同じくらい重要なのです。

寝具は「買って終わり」ではなく「育てて使うもの」

最後にお伝えしたい大切なことがあります。寝具は、決して「買って終わり」の消耗品ではありません。本来は、手をかけ、メンテナンスをしながら使い続ける「道具」です。

昔の布団屋さんは、ただ布団を売るだけではありませんでした。「春になったらこう干してね」「湿気がたまったら打ち直しをしようね」と、季節ごとの道具との付き合い方まで伝えていました。それは、「手入れをされた布団こそが、最良の眠りを生む」と知っていたからです。

春は、そのことを思い出すのに最適な季節です。もし今、眠れなくて「布団が合わなくなったのかな、買い替えようかな」と悩んでいるなら、その前に一度だけ、今の布団に風を通してみてください。少し扱い方を変えてあげるだけで、

「あれ? 今朝はなんだか体が軽い」
「鼻の通りが少し良くなった気がする」

そんな変化を感じられるはずです。あなたの眠りを毎晩受け止めてくれている寝具。年に一度、花粉の季節くらいは「ちゃんと呼吸できているかな?」と気にかけてあげてください。それが、薬や新しいグッズを買うよりも、もっとも現実的で、体にやさしい春の睡眠対策になると信じています。

※本稿は『とにかくぐっすり眠りたい 老舗ふとん店の12代目がこっそり教える快眠法60』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。