会談に臨む高市早苗首相(右)と日銀の植田和男総裁会談に臨む高市早苗首相(右)と日銀の植田和男総裁=2月16日 Photo:JIJI

インフレ加速と景気下押しリスク続く
「6月利上げ」と補正予算編成の行方

 中東情勢は、米国とイランの和平交渉が壁に突き当たり、トランプ大統領はイランへの「再攻撃」を示唆しながら、圧力を強めるが、イラン側が応じる気配は表向き見えない状況だ。

 イランを巡る戦闘、ホルムズ海峡の封鎖は長期化する懸念が強まる。原油価格の高止まりは、世界的なインフレ圧力を再燃させ、各国中央銀行は「物価の安定」と「景気の下支え」という二律背反の狭間で困難なかじ取りを迫られている。

 日本経済は、5月19日に公表されたGDP統計(速報値)では、1~3月期の実質GDP成長率が前期比0.5%増、年率2.1%増と2四半期期連続のプラスとなり「緩やかな回復」基調を維持しているが、家計の消費マインドには陰りが見え、企業の先行き警戒感も強まる。(図表1)。

 インフレ加速と景気下押しリスクのもと、日本銀行の金融政策正常化の模索と、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」の実行という、二つの大きな経済運営の柱も分岐点に立っている。

 当面、注目されるのは、日銀が6月15、16日の金融政策決定会合で、「ビハインド・ザ・カーブ」が懸念される中、物価安定重視で追加利上げに踏み出すのかどうかだ。

 一方で、高市首相は、ガソリン補助金に加えて7~9月期から電気・ガス代補助を再開する考えを表明、2026年度補正予算を編成する方針であり、先の総選挙で掲げた「食料品の消費税ゼロ」実施の意欲も持ったままだ。

 これらは景気の下支えにはなるものの、一方でインフレを加速させる懸念も一部では指摘されているほか、日本の長期金利(新発10年国債金利)は19日には2.800%まで上昇、1998年12月以来の高水準となるなど、中東情勢が泥沼化すれば、財政支出増大や減税で長期金利はさらに上昇、利払い費などが膨らむ。

 金融政策の正常化と首相の掲げる「責任ある積極財政」をどう両立させるのか、今後の経済政策運営は難しいかじ取りだ。

 だが、両立させるためのやり方はある。