「あなたの一番弟子は?」
と質問されたゴッチの返答は……
これによって、藤原、佐山、前田らがごく少人数で細々と研究し続けてきた関節技は、プロレスファンの間での市民権を得ることとなる。そして藤原らのその姿勢こそが猪木イズムだという評価になっていった。UWFの成功が、藤原の長年にわたる孤独な研究の正当な評価へとつながったのだ。
ただし、藤原自身はそんな他人の評価には無頓着で、「俺は自分の好きなことをやってきただけ」と語る。
「俺はゴッチさんからいろんな技術を教わったけれど、アングロサクソンと日本人とでは、骨格も筋力も筋肉の特性も違うから、俺は教えられたことをそのままやるのではなく、道場でスパーリングを繰り返しながら俺流に改良して、実戦で使えるようにしていったんだ。
それで俺が37歳の時、関節技の本(『藤原喜明のスーパーテクニック』)を出したんだ。それを『こんな本をつくりました』ってゴッチさんに見せた時、俺は叱られると思ったんだよ。ゴッチさんから教わった技術を勝手に変えて解説してるわけだからな。
『アントニオ猪木と新日本「道場」最強伝説』(佐山聡、藤原喜明、木村健悟、藤波辰爾、栗栖正伸)
そしたらゴッチさんが『いや、これでいいんだ』と言ってくれたんだよ。『俺が教えたとおりにやってるうちはまだ半人前。お前自身が考えて、お前独自の技術にしろ。それでやっと1人前だ。これはゴッチスタイルではなくてフジワラスタイルだ。それでいいんだ』ってね。
だから何かのインタビューで、ゴッチさんが『あなたの一番弟子は誰ですか?』っていう質問に、『私から誰が一番かは言えない。ただ、強いて言えばフジワラだ』って答えてたんだよ。その1行だけで俺は救われたね。
所詮は自己満足だよ。でも、いまだに海外から俺のところに『関節技のセミナーをやってくれ』なんていう連絡が来るし、元UFCチャンピオンのジョシュ・バーネットなんかもよく連絡をくれて『技術を教えてくれ』と言ってくる。アメリカのWWEでは、俺の関節技が『フジワラ・アームバー』なんて名前で呼ばれてたりするんだろ?
そうやってプロレス界に何かが残せたのなら、俺が好きで長年取り組んできたことにも、なんらかの意味があったんじゃねえか。それを目一杯やらせてくれた、猪木さんとゴッチさんに感謝だな」







