株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の売買タイミング」をどう見極めているのでしょうか?「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」―そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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高値掴みしてしまった株、どうする?
「好材料が出て株価が急騰! 今後の成長期待は抜群。これは乗るしかない!」
そう意気込んで買った直後、上昇は続かず株価は元の水準へ逆戻り……。チャートを使ったトレードを好む方なら、こうした苦い経験が何度もあるのではないでしょうか。
このような時にどのように対処すればいいのでしょうか。『株トレ』に掲載されているケースを紹介します。
「急騰後の急落」への対処法
5ヵ月前、売買高の大幅増加を伴って、A社の株価が急騰しました。政府系の大きなビジネスを受注する期待が出たためです。そこですぐにこの銘柄を買いました。
ところが、すぐに実現する話ではないと伝わり、株価は間もなく急落しました。結果的に高値掴みとなってしまいました。そのビジネスをいつかは受注するだろうとの思惑が続いているため、最近も売買高を伴って急騰することがあります。ただし、急騰してもすぐ売られる展開が続いています。
あなたなら、このような状況でどのように行動しますか? 買い増し、売り、様子見――。
A社の週足チャート
急騰を打ち消す急落は、すぐに損切り
「私なら、この株をこんなに長くは持ちません。買った直後に急落したところで、すぐ処分売りします」と窪田さんは断言しています。
たしかに買ったタイミングでは、チャートに買いシグナルが出ていました。売買高急増で週足が大陽線となる見込みでした。ところが、直後の株価急落で、週足は大陰線となりました。
買う根拠となった「強い形」が崩れ、逆に「強い売りシグナル」が出たのであれば、その瞬間に前提は変わっています。
であれば、すぐに損切りし、損失を小さく抑えるべきだというのが窪田さんの考えです。
期待だけで、株価を支え続けることはできません。何度も上値トライに失敗するうちに、高値で掴んで後悔している投資家の心は折れ、「しびれを切らして処分売りを出す」タイミングがやってきます。
実際、前述のチャートから2ヵ月で、大きく値を下げました。多くの投資家が「もうダメだ」と投げ出した結果です。
2ヵ月後のチャート
本書では、個別株トレードにおける損切りの重要性が繰り返し強調されています。それは、いつまでも損切りできず、ずるずると損失を膨らませてしまう個人投資家が多いからです。
チャートで勝つための鉄則は「損小利大」。下落している株は早めに手放し、上昇している株を持ち続ける。含み損は小さいうちに処理し、含み益を膨らませていく。
言葉にすればシンプルですが、実行するのは簡単ではありません。多くの人は「いつか戻るかもしれない」という期待にすがってしまうからです。
しかし、チャートは常に「今」の需給を映しています。買った理由が崩れたなら、判断をアップデートする。それができるかどうかで、結果は大きく変わります。
損切りは失敗ではなく、次のチャンスに資金を回すための戦略的な判断です。上がらない株に執着しない。強い株に資金を集中させる。その積み重ねが、長期的な資産形成の差になります。
本書は、こうした判断力をクイズ形式で鍛える一冊です。感情に振り回されず、チャートという事実に基づいて行動する。その習慣が身につけば、「売り」をためらう時間は減っていくはずです。


