個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

個別株で資産を増やす人と、損を重ねる人の決定的な差Photo: Adobe Stock

激安株の選び方

 株式投資の王道は、企業の価値に対して株価が低く放置されている「割安株」を狙うことです。

 特に日本の小型株市場では、「安定して利益を出しているが、成長性が乏しいために市場で全く人気がない激安株」が放置されることがあると窪田さんは言います。

 割安株投資で、よく使われる指標が「PBR」です。PBRが1倍を下回っていれば、「会社の解散価値よりも安い水準で放置されている」とも解釈できます。

 ただし、PBRが低いからといって何を選んでもリスクが低いわけではありません。財務が悪い企業には大きなリスクが伴います。だからこそ、財務が健全な企業を選ぶことが重要です。

ネットキャッシュに着目する

 では、何を見ればいいのか。窪田さんがまず確認すべきだという指標が「ネットキャッシュ」です。

 ネットキャッシュとは、「現預金-有利子負債(短期借入金・長期借入金など)」で計算される、実質的な手元資金のことです。

 たとえば、次のようなA社の株を考えてみましょう。

個別株で資産を増やす人と、損を重ねる人の決定的な差

・PBR:0.5倍
・時価総額:25
・ネットキャッシュ:25(現預金35-短期借入金10)

 理論上、買収にかかるコストを考えなければ、25を支払えばA社を100%買収できます。

 ところが、バランスシートを見ると、A社は現預金を35も保有しています。

 この場合、25を支払ってA社株を100%取得し、その後にA社が保有している現金のうち25を配当金として出すとどうなるでしょうか。

 25の配当金を受け取れば、実質タダでA社を買収したことになり、A社は次のようなバランスシートになります(配当金にかかる税金を勘案しないベース)。

個別株で資産を増やす人と、損を重ねる人の決定的な差

低PBRでも、手を出してはいけない株

 ただし、注意も必要です。同じようにPBRが0.5倍でも、財務に問題がある企業は別です。

 たとえば、次のようなB社のケースを考えてみましょう。

個別株で資産を増やす人と、損を重ねる人の決定的な差

・PBR:0.5倍
・時価総額:25
・ネットキャッシュ:マイナス20(現預金10-借入金30)

 PBRは低くても、ネットキャッシュがマイナスで、財務リスクを抱えている可能性が高いことがわかります。

 窪田さんは、業績が悪くて株価が下がっている株を買うのはOKですが、財務が悪くて株価が下がっている株を買うのは絶対ダメだと言います。

 業績は年度によって変動しても、財務内容は簡単に変わらないからです。破綻してしまえば株式の価値はゼロになってしまうこともありえます。

 資金繰りに不安がある企業の株を割安だからという理由だけで買うのは危険なのです。