── 社員数も増えているようですね。

 毎年採用し、現在は30人います。実は私以外は全員女性です。人形業界は男性社会なので、極めて異例です。

 女性ばかり採用しているのは、人形選びの中心になっているお母さまのニーズを吸い上げるためです。社員は必ずショールームでの接客を経験するのですが、女性の方が同じ目線で寄り添えますし、ニーズを理解しやすい。そうして生まれる商品は男性の私から見ると「本当に売れるのかな?」と思うことがあるのですが、市場に出してみると売れるのですね。こうしてお母さまが飾りたくなる商品を作れていることが、大きな差別化要因になっていると思います。

── 女性社員が働きやすくなる環境づくりもされているようですね。

「赤ちゃん顔の雛人形」人気の火付け役 社長以外は全員女性で、働き方改革も実現人形工房ふらここのひな人形と五月人形。かわいらしい赤ちゃん顔が印象的。飾り付け時の横幅は40㎝ほどとコンパクト

 要望を聞きながら整備しています。例えば情報共有。口頭で話したことも含め、すべてのやりとりをビジネスチャットで残すようにし、業務データはクラウドストレージに一元化しています。これなら、社員自身の体調不良やお子さんの急病などがあってもスムーズに仕事を引き継げますし、産休も取りやすくなります。また「おたがいさま支援手当」を用意し、産休中の社員をフォローした人に対してボーナス加算をするようにしました。それらの改革の結果、月の平均残業時間は10時間程度になり、有給休暇の消化率もほぼ100%に達しています。

── 資金はどう調達されていますか?

 複数の金融機関と取引がありますが、中でも親身になってくださっているのは信用金庫。興産信用金庫さんは現社屋への移転直後に営業の方が訪れ、取引が始まりました。さらに、営業の方の提案で東京都信用金庫協会の表彰制度に応募し、新興企業賞を受賞。また、芝信用金庫さんのご協力で、22年にも理事長賞を受賞いたしました。信用力向上につながっています。

── 今後の抱負をお聞かせください。

 現在はひな人形と五月人形、結婚時に贈るブライダル人形の三つを販売していますが、共通するのは「親と子の絆を深めていけること」。そんな関係づくりに寄与できる人形を生み出したいと考え、新商品の開発を進めているところです。

 世界を見回してもここまで発達した人形文化を持っている国は日本だけです。この誇るべき伝統を、守るべきところは守りながら、変えるべきところは変えて、未来につなげていく。それが伝統文化を継承する人間の使命だと考えています。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2026年3月号掲載、協力/興産信用金庫

事業内容:節句人形の製造販売
従業員数:30人
売上高:5.9億円(2025年9月期)
所在地:東京都中央区東日本橋3‐9‐8 furacoco house
電話:03‐6231‐1359
URL:furacoco.co.jp