「赤ちゃん顔の雛人形」人気の火付け役 社長以外は全員女性で、働き方改革も実現

──「人形工房ふらここ」という屋号でひな人形や五月人形を販売されています。特色をお聞かせください。

 私たちの人形は、細面で大人びた顔の伝統的な人形ではなく、丸みのあるかわいい赤ちゃん顔の人形であることです。

 20種類の表情があり、わが子に似ているお顔を選べます。お顔に合わせて、着物や飾り台、びょうぶなどひな道具類の一つ一つを、現代の住まいに合わせてデザインしています。横幅で30~40cmほどとコンパクトで飾りやすいのも特徴です。

「赤ちゃん顔の雛人形」人気の火付け役 社長以外は全員女性で、働き方改革も実現代表取締役・原英洋(はら・ひでひろ)氏。1963年東京都生まれ。85年に慶應義塾大学を卒業した後、集英社に入社。87年に家業である五色に入社した後、2008年にふらここを設立。

 近年このタイプの人形を他社も扱っていて今や市場の3~4割を占めていますが、2008年に、業界に先駆けて生み出したのが私たちです。

── なぜ赤ちゃん顔の人形を?

 私の実家は創業100年を超える人形製造販売の老舗で、私も家業の後継者として営業・販売業務を担当していました。そこで感じていたのはお客さまの変化です。以前はおじいさま、おばあさまが大きなひな壇のひな人形を贈ることが多かったのですが、徐々にお母さまが自ら来店し、かわいらしい表情でコンパクトに飾れる人形セットをご購入されることが増えていました。

「それなら、もっとかわいらしく、赤ちゃんの顔まで近づけた人形を作ろう」。社内で提案しましたが賛成されず、外部の職人さんにも「せっかくの伝統工芸品が安っぽいおもちゃになってしまう」と真っ向から反対されました。しかし諦めたくはありません。そこで独立して1人で挑戦することにしたのです。

── 独立後は順調にいきましたか?

 家業で付き合っていた職人さんにはお願いしにくいので、若手の職人さんを探しました。その職人さんも赤ちゃん顔の人形は抵抗があったようで、何度も修正作業をしていただき、イメージ通りの人形が完成。自己資金をかき集めて、ひな人形を200セット作りました。

 販売を開始した12月は売れず、不安でしたが、年明けから急に売れ始め、3週間でほぼ完売しました。五月人形も100セットだけ作ると、こちらもすぐ完売しました。その後、約10年間は毎年倍々ペースで販売数が伸び、25年度には累計販売数が6万5000セットを突破。現在まで右肩上がりで成長しています。