株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の売買タイミング」をどう見極めているのでしょうか?「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」―そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株のプロ直伝「下落した株の正しい買いタイミング」Photo: Adobe Stock

「日柄整理」ができていない株は、上が重い

 株価が急落した後、まだ日が浅い状態を「日柄整理ができていない」と言います。

 この状態の株には、高値で掴んでしまった投資家の「少しでも戻ったら売りたい」という心理が強く働きます。株価が反発しても、戻り売りが出やすい。その結果、上値は抑えられ、なかなか本格上昇に転じません。

 では、本書のチャートを例に、「買い」のタイミングを見極めてみましょう。

 ここに、新規上場して半年が経過した2社のチャートがあります。

株のプロ直伝「下落した株の正しい買いタイミング」

 どちらも革新的なITサービスを手掛ける高成長企業で、6ヵ月前に東証グロース市場に上場しました。初値は公募価格を5割上回る高値をつけましたが、その後は期待の反動で大きく下落しています。

 売上・利益ともに業績は予想通り伸びています。株価が落ち着くのを待って投資したいと考えています。

移動平均線が下向きのQ社を買うのは時期尚早

 Q社とR社は、どちらも「急落した」という点では同じです。しかし、決定的に違うのは下げ方と、その後の時間の経過です。

 注目すべきポイントは2つ。「移動平均線」と「日柄整理」です。

 Q社を買うのがダメな理由は2つです。

移動平均線は下向き:13週・26週移動平均線はどちらも「下向き」のままです。

日柄整理ができていない:初値をつけた後、ダラダラと下げが続き、2ヵ月ほど前にようやく大底を打ちました。反発を始めてからまだ1ヵ月程度。

 ここから再び下落が加速するリスクもあり、窪田さんは、Q社の買いは時期尚早だと指摘します。

R社は日柄整理が済んだ

 R社は初値の後、すぐに急落して底を打ちました。そこからすでに5ヵ月が経過しており、安値圏でじっくりと時間をかけて「値固め」をしています。

移動平均線に変化:下向きだった線が「横ばい」になり、さらに「上向き」へと変化し始めています。

日柄整理の完了:急落から十分な時間が経っているため、高値で持っていた投資家の処分売りは一巡していると考えられます。

 戻り売りの圧力が弱まれば、上値は軽くなります。そこから上昇に弾みがつく確率は、Q社よりもはるかに高いのです。

「急落=買い時」ではありません。株価は「価格」だけで動いているわけではなく、その裏には、含み損を抱えた投資家の思惑と、時間の経過があります。

 価格だけを見て反応するか。トレンドの変化や売り手の存在まで読むか。この視点の差が、勝てる投資家と損失が膨らむ投資家を分けるのです。