◆百発百中を捨てて、損切りを「必要経費」にする最強のメンタル
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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「プロの勝率は60%未満」という現実
スクリーニングと企業研究を組み合わせて、丁寧に投資アイデアを見つけていくわけですが、どんなに優秀なファンドマネージャーでも、投資アイデアの平均的な勝率は60%を上回ることはありません。
私の場合も、おそらく勝率は50%台前半ではないかと思います。適切な努力をして「エッジ」を活かせば、勝率50%以上に上げることは可能です。
アイデアの「数」が統計的な勝利を呼び込む
そこで株式の銘柄選択をする際に大事になってくるのが、投資アイデアを数多く持っておくこと。2~3つでは足りず、理想的には20~30程度のネタは持っておきたいところです。
数多くの投資アイデアを組み合わせることで、1つひとつの投資アイデアの勝率は50%そこそこであっても、成功アイデアのリターンが失敗アイデアを上まわり、統計的にはポートフォリオ全体で勝率を上げることができます。
【解説】トータルで資産を増やすためにどうすればよいのか?
プロでさえ勝率が50%台であるという事実は、投資において「百発百中」を目指す必要がないことを教えてくれます。
では、半分近くの取引で負けてもトータルで資産を増やすためには、具体的にどうすればよいのでしょうか。3つの鉄則を解説します。
1.「勝率5割」で勝つための絶対ルール(損小利大)
勝率が50%であっても利益を残す唯一の方法は、1回あたりの「負けの額」を小さく抑え、「勝ちの額」を大きく伸ばすことです(損小利大)。多くの投資家は、少し利益が出るとすぐに確定し、含み損を抱えると「いつか戻る」と祈りながら放置してしまいます。これでは、コツコツ勝ってドカンと負けることになりかねません。
投資アイデアの前提が崩れたと判断したら機械的に損切り(ロスカット)を行い、逆にシナリオ通りに進んでいる銘柄は焦って売らずに利益を伸ばし切ることが重要です。
2.致命傷を防ぐ「資金管理」の徹底
20~30の投資アイデアを実践する上で欠かせないのが、ポジションサイズ(投資額)の管理です。どんなに自信のあるアイデアであっても、一つの銘柄に資金を集中させてはいけません。例えば、1回の取引での損失許容額を「総資金の2%まで」とあらかじめ決めておけば、何度か連続して負けても致命傷にはならず、相場に残り続けることができます。
アイデアを複数持つことは、資金を分散させ「一発退場」のリスクを劇的に下げる効果があります。
3.失敗を「必要経費」と割り切るメンタル
「半分は負ける」という前提に立てば、損切りは失敗ではなく「投資を続けるための必要経費」と冷静に受け止めることができます。
完璧な銘柄探しに固執して身動きが取れなくなるよりも、優位性のあるアイデアを複数見つけ、資金管理を守りながら淡々と試していく。この「確率と統計の思考」を身につけることこそが、相場に振り回されずに長期的に生き残る最大の秘訣です。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











