◆勝つ投資家は「好決算」ではなく、どう「市場の期待」を読む?
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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見えない力に支配される「効率的市場」の正体
「市場が効率的である」という考え方は、多くの人が株価の方向性を当てられず、自分が得られる情報はすでに市場の株価に織り込まれている、ということが前提となります。
投資家の命運を握る「情報の羅針盤」
一例として、企業の四半期決算が発表されたときのことを考えてみましょう。投資家にとって決算発表は重要な情報源になりますが、新たな情報が発表されると、市場参加者は企業が事業計画と比べてどのように進捗しているのか、今後の業績はどのように進捗しそうなのかを考え直すことになります。
期待と現実が交錯する「価値の再定義」
そして、考え直した結果をもとに適正な株価をはじき直して、株価が上がるか、下がるかを判断して、株式の売買をします。
15時半の静寂の後に訪れる「ドラマ」
決算発表はその日のマーケットが引けた後、15時半以降に行われることが多いです。そのため翌日の株価は、新たな情報を反映して大きく動くのが市場でのお決まりとなっています。
【解説】「織り込み済み」という冷徹な現実
市場が効率的であるということは、私たち個人投資家にとって少し厳しい現実を突きつけます。それは、「ニュースを見てから動いても遅い」という事実です。
例えば、素晴らしい最高益の決算が出たとしましょう。「これは買いだ!」と翌日の市場に飛び込んでも、株価が逆に下がってしまうことがあります。これは、プロの投資家たちが事前にその好業績を予測し、すでに株価をつり上げていたためです。
発表された好決算が予想の範囲内であれば、それは「織り込み済み」と判断され、新たな買い材料がなくなったことで「材料出尽くし」として売られてしまうのです。
株価を動かす真の鍵は「サプライズ」
では、市場は何に反応するのでしょうか? それは「期待値とのギャップ(サプライズ)」です。市場参加者の平均的な予想である「コンセンサス」に対し、実際の結果がどうだったかが重要になります。たとえ赤字決算であっても、市場が「巨額の赤字」を覚悟していたところで「小幅な赤字」で済めば、それはポジティブなサプライズとなり、株価が急騰することさえあります。
つまり、私たちが見るべきなのは、単なる数字の良し悪しではなく、「市場が事前に何を期待していたか」というハードルの高さなのです。
波に飲み込まれないための投資戦略
このように、決算発表直後の株価は、情報の織り込み具合とサプライズの有無によって、ギャンブルのように乱高下します。短期的な値動きを当てるのはプロでも至難の業です。だからこそ、私たち個人投資家にとっての賢明な戦略は、この短期的な「効率性」に正面から挑まないことかもしれません。
翌日の株価変動に一喜一憂するのではなく、市場がまだ織り込めていない「数年後の企業の成長ストーリー」に目を向けること。あるいは、短期的なノイズを許容して長く保有し続けること。市場の効率性を理解することは、目先の動きに惑わされず、どっしりと構えるための「精神安定剤」として役立つのです。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











